西部劇の魅力(12):ネイテイブの起源

アフリカ大陸が人類の起源と言われていますが、南北アメリカに住んでいた先住民族はどこからきたのでしょうか。

紀元前1万2000年頃は、現在のベーリング海峡が陸続きだったため、アジア大陸からモンゴロイド北米大陸へ移動できたと考えられているようです。根っこは日本人に近いのですね。

彼らは、南下していって、紀元前1万年頃には南米の南端にまで到達していたと考えられています。

偉大な民族だったのでしょう、中南米で、マヤ文明アステカ文明アンデス文明、インカ文明など、畏敬の念を覚えざるを得ない文明と国家を築いていきます。


それに比べると、北米のネイテイブアメリカンは、小さな部族社会がコミュニテイーとして機能しつつも、多くの部族が散在しているという状態だったようです。

北米のネイテイブアメリカンは、各部族でうまく棲み分けをしていたようで、例え部族間の戦いがあったにしても、戦士の戦いは、勝者の勇気を誇示し賞賛を受けるという意味合いが強く、相手を滅亡させて領土を奪うという類のものではなかったようです。
もともとネイテイブアメリカン達は、共存共栄を基本とし、生存するために互いが弁えた暮らしぶりを1万年以上続けてきたと言えます。そのため、侵入してきた白人達にも親切な対応を行い、ヨーロッパなどと違い、相手を拒絶排斥したり、殺戮したりするなど考えもしなかったことでしょう。

現在、部族国家ともいえる国の紛争に、アメリカ的な一元的価値観では対応しきれていません。貧困とテロの問題などとても難しい問題はありますが、欧米の先進国的価値観では、国によっては不幸な結果を生んでいるように見えます。
稲作が多くの人々の生活の糧になると考えて、稲作文化を拡げていくことで領土拡張を図っていった大和朝廷は、稲作の不適な地でも米を栽培させ、結果凶作で多数の餓死者を出すなど、良かれと思った価値の押し売りで不幸を招いたことと似ているように思います。
そんな欧米や私達にとっても、ネイテイブアメリカン達の知恵は、地球の平穏を考える上で謙虚に学ぶべきことに思います。
ネイテイブアメリカン達に今尚冷たい対応を取っているアメリカが、学ぶべきなのがネイテイブアメリカンの価値観というのは、何とも皮肉なことに思いますが、、


さて、多くの小部族が個別に存在するという状態が、中南米とは異なり、北米のネイテイブアメリカン社会の特性と言えます。

中南米では、家族としてのユニットが、部族を形成して、それを取りまとめる首長による大きな社会ができ、国家まで形成しましたが、北米では発展の形態が異なり、国家にまでは発展しなかったわけですね。

国家と言う意識が希薄だった北米のネイテイブアメリカンは、白人が自分たちの土地に入ってくるのに寛大だった言えるでしょう。白人はそんなネイテイブアメリカンの意識に乗じてか、何の遠慮をすることなくネイテイブアメリカンの居住地に入ってきます。

そのために、白人からすると侵略したという意識が希薄なのかもしれません。


それでは、中南米に知的な文明を築いた国家はどうなったでしょうか。
中南米先住民族達も、スペインやポルトガルからの入植者に親切に応じました。

しかし、中南米の知的な文明を築いた国家は、同じ西欧人に侵略され、略奪され、虐殺されるという経過を辿っています。
結果はネイテイブアメリカンと同様に、残酷な運命に曝されてしまいました。