地上波の終焉なるか

今年4月から販売されている、パナソニックの「スマートビエラ」は、映像の大きな可能性と電波業界の旧弊さとを炙り出しています。
民放各局が「スマートビエラ」の商品CMを拒否していると大きく報道されたのが確か7月だったと思いますが、その後、どういう経緯を辿っていくのか大変興味がありました。

7月に話題になった時点で、TV番組とインターネットのサイトが起動時に一緒に表示されるパナソニックの「スマートビエラ」に対して、民放各局は、業界の技術ルールに反するなどとして、「スマートビエラ」のCMを拒否して放映していないことが露顕しました。
大きな既得権をもつテレビ局は、自分達の存続を危うくするスマートTVを、自分達の存在価値を洗い出して方向転換を図る契機とするのではなく、自分達の利権を守るために排斥することを選んだようです。


しかし、その後の経過は、結局、今回はパナソニック側が折れて、ビエラの仕様を変える方向で動いているようです。
世界的企業のパナソニックと言えども、日本の電波業界に依存したマーケッテイングから当分は撤退するわけに行きませんので、ほとんどの方にこの結果は見えていたことでしょう。
パナソニックは時代の流れに殉ずるのではなく、時代に逆行する勢力の前に屈したことになります。

以前、CMを飛ばす録画ヴィデオが売り出されたときにも、業界はこぞって拒否して潰しにかかりましたが、今回のスマートTVはこれとは次元の異なる大きな問題を提起してくれています。
今後の映像のあるべき姿を考える良い契機を提供してくれることになったと思います。

今回のパナソニックの決断は、日本の一企業としてはさもありなんの選択でしょうが、野次馬根性の強い自分には残念でもあり物足らない結末です。
CMを拒否されても仕様変更しない「スマートビエラ」の販売を続けて欲しいものです。
現状の量販店で売られている価格であれば(42型で7万円台等)、既存のTVよりも、私にはずっと魅力的に見えます。
ネットのヘビーユーザーでなくても、既存の放送局の番組しか見られないようなTVよりも、スマートTVに格段の価値を感じるのではないでしょうか。

メニュー画面から、YouTubeや、TV局放送では特定の時間にならないと放送しないような天気予報ではなく、地域で細かくセグメントされたネットの天気予報やニュースなどの、定期的に更新されるコンテンツを簡単に選択できるわけです。それも音声入力で、お年寄りやハンディーキャップのある方にも扱いやすいようにという観点から配慮されているのです。
視聴者、消費者の方向を向いている商品であることは間違いないでしょう。

日本の放送業界や、放送業界に君臨するD社が頑なにスマートTVを排斥しようとしても、この流れに棹さすのは困難に思います。
日本の放送業界は、反日勢力のスポンサーや、海外ではオカルト教団と目されているスポンサーの顔色を伺う必要もあり、作る番組もその意向に大きく左右されているように見えます。しかしネットの放送局にはその掣肘がない場合が多く、できた作品の質も、資金注入できる大手局のものが高いとは言えません。
また、スマートTVは、今や、世界的なレベルで広がってきています。


TV視聴に壁を作り、視聴者にネットを気軽なお茶の間の存在にさせまいとして情報隔離を行い、TVの視聴者を囲い込もうとしても、情報隔離したつもりの壁の外側では、多くの人々がネットで世界のニュースや大手の放送局では流せないような映像に接しているのです。
ネットとの融合か、何らかの形でネットとの共存共栄を図らなければ、既存の放送局は既得権を保持できないでしょう。海外の放送局の中には、その危機感をとっくに察知して、舵を切り出しているところもあります。

スマートTVの開発は、パナソニックのみならず、サムスンやLGなど、また、アップルや、驚異的な戦略を持つグーグルが取り組んでいます。
誰がどう眺めても曇りのない空に飛び立つのに、外圧による力を借りなければ進まないとしたら、、

ここでも、壁を作ることが既得権者の利権を守り、消費者の自由を束縛している事例を見ることができるように思います。