静岡空港(続き)

開港前に県が公表した需要予測は1年目搭乗者138万人という数字でした。

詳しい数字は憶えていませんが、
開港前の試算の予測数字はもっと大きな数字だったと思います。

予測数字は過剰でないかと言われており、地元の方の中には、
データを水増しした作文と考えていた方も少なくなかったように思います。
(官僚や県は客観的データによる需要予測数字と言っていましたが)

その需要予測は、静岡に空港が出来れば、
静岡県民が飛行機に乗る場合は静岡空港を利用するという、
素朴な前提に立った数字を根拠としていたと思います。

東西に長い静岡県で、静岡空港は中部にあります。
沼津や三島周辺の東部の人は静岡空港に行くより、
羽田の方が近い人も多く、行き先、便数共に圧倒的に羽田の方が有利です。

浜松等の西部の人は、同様の理由で静岡空港よりも名古屋に行く人が多いと思えます。
静岡空港を利用する人は静岡県中部地区の人プラスαが対象と思えます。
静岡県民375万人がターゲットでなく、
せいぜい120万人をどう取り込むかという話になります。

大規模公共工事の需要予測とは、
この程度のものなのかと危うい思いがします。

搭乗者予測数字が水増ししたものであるとは、
地元民でない方も気付いていたようです。
静岡空港の土地を造成している時に、
あるTV番組が全国の無駄な公共投資の例を取り上げていました。

その中で静岡空港も取り上げられました。
出演者の舛添要一氏が、静岡に空港の必要性はない。
静岡空港が採算に合うわけがない。
絶対つぶしてやる。と叫んでいたのを私は複雑な思いで見ていました。

無駄な公共投資であるのは間違いないと思いました。

静岡に空港はなくても、羽田や名古屋に行くのに、
それほど不自由ではないとも思いました。

採算に乗せるのは大変だろうと思いました。

しかし、地元に住んでいるわけでもない人に、
静岡空港をつぶしてやると言われるのは心外でした。


舛添氏は影響力を持った政治家と思いますので、
静岡空港に反対ならば、どうして検討段階で反対して、
建設計画をより精緻に吟味してくれなかったのかと、その時思いました。

良識派の人達と協力して、仮に建設を止められなくても、
公共投資の基準についての議論を深めて欲しかったと思いました。

しかし、こうした意識と思考パターンは、
私達の多くが持っている一面でもあるように思います。


物事を建設的な方向で議論できずに、マイナスの方向へ走り出してから、
声を大にして批判する人たちが出てくるのは、
日常的に良く目にする光景でもあります。