組織活性化の指標(老舗の力)

以前、別なブログにも書いたことですが、


昨年の夏に、日本橋たいめいけんに行ったときのことです。
たいめいけんは、ずいぶん久し振りでした。

入ったのは、お昼時で、お店の前では、5・6組の人達が席が空くのを待っていました。
昔ながらの庶民的メニューの1階洋食屋の方です。

2階はコース料理中心のレストランで、待ちはありません。

ギャルソン風のお店の人が、1階洋食屋で待っている人達に、2階レストランでも、○△と□○は注文できますと、しきりに2階を勧めていましたが、誰も上がっていきませんでした。


1階で昼食を済ませて私達が店を出たのは13:20頃でしたが、まだお店の前で10人位待っていました。
お盆休みということもありましたが、ここまで流行っているのに、大変興味が湧きました。

日本橋のこの近辺は、近くに食べ物屋さんが多いですが、行きも帰りも飲食店で外まで並んでいる店は見当たりませんでした。
金額はメニューにもよりますが、たいめいけん1階は庶民的な金額とは思います。
味とコストパフォーマンスはそこそこでした。

ですが、近隣のお店のランチメニューを覗いてみると、もっとお得に思えるメニューもあります。しかし、それ程お客が入っているようでもありません。

老舗の味を求めてくるお客のリピート率が高いからなのか、新規客の来店数が多いのか、多分両方なのでしょう。
年配の方が多い感じがしましたが、若い方も少なくありません。若い方も含め、客層は全体に落ち着いた感じでした。

ネームバリューだけで長い間お客を呼び寄せ続けることができる程、客商売は簡単ではないでしょう。
有名店であればの味を維持していくことも必要になります。
同じメニューで、もっと美味な店もありますし、もっと安い店もあります。
それぞれでは、他の店の方が好きという人も多いことでしょう。

たいめいけんは、いろいろな要素のバランスがうまく取れている店ということができると思いますが、私は、一点だけ、とても感心したことがあります。
一点だけなどという言い方は、この場合とても不遜な言い方かもしれません。
そこには、一点などと簡単に片付けられない、大変重要なことが凝縮されているからです。

私は息子と2人で入って3品頼みました。2人用のテーブルはとても狭くて、3品は一度にのりません。
息子よりも私の方が食べるのが早かったのですが、私の食器が空きそうな頃を見計らって、ウエイトレスさんが次の料理を用意しても良いかと尋ねてきました。
私の皿がまだ完全には空いていない時でした。このタイミングは絶妙です。
しかも、満席の中でのことで、私はウエイトレスさんが私の席までやってきて、尋ねてくれたこと自体が意外に感じたのです。

1階はコース料理と違い大衆食堂です(それなりの雰囲気はありますが)。次の料理が来るまで。ゆっくりと会話を楽しむような種類のお店ではありません。また、食べる際に間が空くと、食べられなくなるものです。

そして、3品目を持ってきてくれたのは、お皿が空いて1分も経っていませんでした。
私が感心したのはこの一点です。

しかし、このハードルはとてつもなく高いと思いました。
ウエイトレスさんと厨房との連携が密でなければ不可能ですし、
客席にいるお客様の状況を、ウエイトレスさんが逐一目配せしていなければできないことです。

それぞれが、自分の仕事の範疇だけ考えていたら、この連係プレーはできません。
お店全体を把握しながら、自分の仕事を遂行し、
自分の仕事の質を高めるには、お店全体の仕事の質が同じベクトルを向いている必要があることを、一人ひとりが自覚していなければならないのです。

しかも1階の席数は70とか80席近くあるように見えました。勿論満席です。

実は2階にお客様を誘導しようとしていたギャルソン風のオジサンも例外ではありません。

私はここにサービス業としてのレベルの高さを感じました。
私達に対応してくれた方が、たまたまとは思えません。

メニューの割には金額が高いと言う人もいますが、目に見えないところに老舗の底力が潜んでいて、それが当たり前のサービスとして受け止められているのでしょう。
安心してリピーターとして訪れることができます。








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