婚前契約(2)

日本でも夫婦間の財産契約という制度(民法754条〜762条辺り)はあります。

この夫婦財産契約は、
婚姻前から所有している財産を夫所有にするのか、妻所有にするのか、共有にするのか、

婚姻中に夫婦が取得する財産を全て夫の所有にするのか、妻の所有にするのか、共有にするのか、

夫婦が共同生活する際の費用を全て夫が負担するのか、妻が負担するのか、それぞれの財産に応じて負担するのかを定めます。

この、夫婦財産契約は、婚姻届出前までに締結しなければ、夫婦間においても無効となります。

また、登記しないと第三者に対して対抗できません。
婚姻届出前までに夫婦財産契約を締結しても、婚姻届出前までに、夫婦財産契約を締結した事実を登記しなければ、夫婦間では夫婦財産契約は有効ですが、第三者に対しては、夫婦財産契約があること、すなわち夫婦財産契約の内容を主張できないことになります。


プレナップ(Prenuptial Agreement)に似た、この夫婦財産契約が、現在ではあまり馴染みのない法律ではないかと感じるのは、私が資産がないからそう感じるだけで、該当する家では問題は切実なことでしょう。

民法の夫婦財産契約は、明治時代にできた法律です。
明治の方が現在よりも富の偏在が極端だったとは一概に言えないと思いますし、現在では日本一国だけでくくれる問題ではなくなっているようです。資産やマネーは国境を越えていて、世界の富の80パーセントが20でなく、今や10パーセントの人々に占められているというデータもありますが、、、

とにかく、明治新政府ができてから、階級制度の上では、華族、士族、平民と区分されるようになりました。
士族は実質平民と変わらない場合も多かったようですが、人が出入りする環境は階級による見えないバリアーもあったでしょうから、恋愛事情としたら良家の子息は良家の子女にくっつく(品のない言い方ですが)確率が高かったと思います。

明治時代に、お妾さんは珍しくなかったようですが、お妾さんにとどまらず、階級制度を超えた恋愛も次第に多くなっていったことでしょう。

そうした過程では、家の存在が強かった明治の時代に、この夫婦財産契約は重要な存在だったのだろうと思います。





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