意識できない被占領者意識

もう十年以上前になりますが、当時親交のあったUS AIR FORCEを退役した知人は、若かりし頃のシュワちゃんのような、いかにも殺人機械のような体格ですがとても生真面目な青年でした。

ステルス戦闘機の整備の方の仕事をしていたそうで、トップガンの世界をバックアップする側ですが、体は鍛えられ、精悍な顔立ちです。

知人のアメリカ人は、大概ユーモアに溢れ、人懐っこく明るい人が多かったのですが、この青年はあまり冗談も言わず(私が理解できていなかっただけかもしれませんが)、寡黙ですが面倒見の良い真面目な青年でした。

この知人から聞いた、US AIR FORCEの話は興味のあるものでした。
例えば、それまでステルスはハイテク戦闘機と思っていたのですが、そのローテクな整備方法を彼から聞いた時には、正直がっかりしたのを覚えています。

今では常識かもしれませんが、レーダーに捕捉されないのは、メカニックのためというより、その曲面や、戦闘機をほとんど覆い尽くす厚塗りした塗料の効果によるものだというのです。

飛行から戻った戦闘機の塗装をへらのようなもので、いったん全部剥がしてから、新しい塗料を何十ミリもの厚さで塗るというのです。その工程の時間は、彼が行っていた頃は10時間以上かかったそうです。

今でこそ、塗料にはUVカット、輻射熱カット等さまざまな機能性商品が出ていますが、レーダー波を吸収してしまうのはハイテク塗料と言えるでしょう。

私は感心の方向が一般的ではないかもしれませんが、
その知人のやっている仕事は整備工の仕事と言ってよいのに、そんな職種の人までこんな体格になるまで鍛えるということにいたく感心しました。

静大で教えていたDさんにその感想を伝えたら、Dさんは、彼はここにいる人間を(7・8人くらいはいたと思いますが)、3分以内で殺す能力を持っていますよ。アメリカ兵の基本能力です。といった意味のことをおっしゃっていました。いつも、ジョークばかり言っているDさんですが、私はこれは本当のことなんだろうなと思いました。


日本の警察官は銃を保持していますが、使用することは稀です。安全・治安の維持、取り締まりが主です。
軍とは目的も、その方法論も全く異なります。







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