どうも尖閣が気になります

尖閣諸島を今後も棚上げに捨て置くつもりの政府は、
それでも不安になったのでしょうか。
2010年にクリントン国務長官が日本に最大限の秋波を送ってくれたのに、それを全く生かさず、無作為に月日を重ねたら、いつの間にか日本とアメリカの関係が冷め出して、中国とアメリカとの関係が微妙なものになり出しています。

日本が尖閣諸島をいっこうに実効支配をしようともせずに捨て置く状態で、なおかつアメリカの熱が日本よりも中国の経済規模に目が向いてきています。
中国の人道問題も、軍拡への警戒も予断を許しませんし、不快感はあるものの、アメリカ経済の立て直しには中国は大事な国といったところでしょうか。これはどこの国も似たようなものでしょうからアメリカを責められません。

日本は扱いやすいし、アメリカは日本よりも中国に関心を向けてきている状況でもあり、最近では尖閣諸島日米安保条約が基本的に適用されるという米国の姿勢に対し、反発を強めてきています。客観情勢を判断して、この程度つついても、問題ないだろうと言う計算高さ(当たり前の外交でしょうが)の元で、自分の利益を獲得しようとする小賢しさ、と言いたいところですが、日本と比べると一枚も二枚も上手のように見えます。



さて、朝日新聞の報道では、
訪米中の杉山晋輔外務省アジア大洋州局長は8月22日、米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のラッセル・アジア上級部長、米国務省のキャンベル次官補らと相次いで会談したそうです。

日本政府は中国を牽制するつもりなのでしょう。中国が尖閣諸島に上陸したことに官僚は危機感を持ったのでしょう。2年前のクリントン国務長官の好意的で力強いお言葉が、今でも有効なのか確かめたかったのでしょう。

米政府側は、香港の活動家が尖閣諸島に上陸した問題に関連し、尖閣諸島には日米安全保障条約が適用されるとの立場を示したそうです。

以下、報道の文章通りに記しますと、何だか、トホホな外交が透けて見えて、またまた不安になってきます。


日米安保条約5条は、日本の施政下にある領域において、米国が日本を防衛する義務を定めた内容。
米政府はこれまでも、尖閣諸島は日本の施政下にあり、同5条が適用される、との立場を取ってきた。ただ、領有権については中立の立場だ。

香港の活動家の上陸をきっかけに、尖閣諸島をめぐる日中間の対立が先鋭化するなかで、米側が改めて立場を明確にしつつ、理解を示した形だ。杉山氏は一連の会談後、記者団に、尖閣問題について「協議の中で確実に出た。(米側から)その点にきちんと言及があった」と強調した

中国に対する牽制策の一つとして当然のアプローチですが、上記文章表現から垣間見える精神性が、何かイヤダナーと感じます。

日本が仕向けた話題に対して、アメリカがお義理で発言した程度のものではないだろうかと勘繰ってしまいます。それを、「協議の中で確実に出た。その点にきちんと言及があった」などという、お義理の言葉を過大評価して恭しく頂戴するような発言を読むと、力が抜けてしまいます。


中国では日米安保条約を本当にアメリカが尖閣諸島に適応させるかということに、中国国内でも周到な議論を積み重ねているようです。日米安保条約をつぶさに吟味して、アメリカを牽制する戦略を探っているように見えます。
動機は不純ですが、戦略は合理的です。



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