冬の陣か夏の陣か

6日の新聞に小さく載っていた記事がとても気になっていました。
中国訪問中のクリントン国務長官は5日、北京での胡錦濤国家主席との会談後に会見し、中国が領有権を主張する尖閣諸島の問題を念頭に「(特定の)立場を取らない」との考えを中国側に会談で伝えたことを明らかにした。

という記事です。

ネットで調べてみると、共同通信の配信をベースにしているのでしょうが、新聞社によって若干比重の置き方が違います。

クリントン国務長官は5日午後には温家宝首相らとも会談したそうです。温首相は「中国の主権と領土の統一を尊重し、中国の核心的利益と国民感情に配慮すべきだ」などと訴えたそうです。


クリントン氏と共同会見した楊潔チ(ようけつち:チの漢字が日本では使われない漢字のようです)外相は南シナ海の領有権問題について「関係当事国の対話で解決する」と主張し、米国の新たなアジア・太平洋戦略が「時代の潮流や地域国家の平和や発展など普遍的な願いに即したものであってほしい」とし、南シナ海問題などで干渉しないよう米国に求めたということです。


アレアレ・・・という感じです。

日本は、せっかく尖閣諸島を(政府が言っている実効支配ではなく実質的な)実効支配する良い機会を失ってしまいました。
2010年に尖閣諸島沖の中国漁船による海保船への衝突事件の後に、同年9月23日にニューヨークで日米外相会談が行われた時でした。
会談で、前原外相が尖閣諸島沖での衝突事件について状況を説明したのに対し、クリントン長官は尖閣諸島日米安保条約の適用対象になると指摘し、アメリカにとって防衛義務があるとの見解を表明しました。
その上で、「問題解決に向けた日本の努力をアメリカとしてサポートしたい」と述べたと報道されていました。
この時私はアメリカという同盟国を、とても心強く思いました。

その後の東日本大震災の際のアメリカのトモダチ作戦は、生半可なものではありませんでした。基地問題があるからなどと勘繰る人もいます。兄貴風を吹かして世界のあちこちで問題を起こすこともあります。一度意志決定するととても怖いところがあります。しかし、やはりアメリカは頼れる兄貴だなと思います。

中国は、クリントン長官の発言以来、尖閣諸島への干渉を暫らく控えていました。
日本の行動と、アメリカの日本に対する熱の程度を見測るためと思います。

日本は、アメリカが尖閣諸島で紛争が起きれば日本に対して防衛義務があると発言した、クリントン長官の、アメリカの力を利用、いや借りることをしませんでした。

以後、日本の姿勢に対して、アメリカの尖閣諸島の防衛の熱も冷めていきます。もともとオバマ大統領は中国との関係を重視してか、尖閣諸島に対して日本には冷淡なところがありました。まあ、民主党元党首が信頼を損ねてしまったわけですが。

日本も尖閣諸島を支配する気がないらしい。その間にアメリカとの距離を縮めようと、中国の経済の優位性がアメリカにとって日本よりも魅力的な存在であることをアピールすべく努力していたと思います。

アメリカの輸出額は対日輸出額の2倍にもなる対中国輸出額です。アメリカが中立の立場をとるだろうということは、想定できます。

中国はアメリカの日本への温度に敏感です。そのひとつのテステイングが先般の上陸劇だったのだと思います。
外堀が埋められつつあります。





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