気まぐれな需要(その2)

桶買いに走った酒造メーカーのお酒は、確かに当時は人気があって、売れ行きも好調でした。
注文をさばききれないため、他の醸造元で製造するお酒を丸ごと仕入れて、
自分の商品名のラベルを貼って出荷したりもします。

醗酵食品はとてもデリケートな食品です。
仮に同じレシピ通りに作ったとしても、桶が違えば微妙に味も変わります。

それをレシピを同じくする間もなく、丸ごと仕入れてブレンドしても、
いくら、ラベルは同じブランドでも今までの商品とは変わってしまいます。

しかし、増え続ける需要をうまく取り込むことができて、
売上は伸びて、一時は会社の将来は安泰のように思えたことでしょう。


醗酵の世界は大変奥が深い世界だと思います。
日本の食文化は、ある面醗酵食品が支えているとも言えます。

大規模製造で商品を作ることは、一定水準以上に品質をアップさせた商品を、
大量に供給できますので、大変意義のあることです。

しかし、定番商品と言っても、消費者は何年も同じ味の商品には飽きる場合もあります。
また、旧来の製造方法により、実は旨味や健康に良い成分が醸成されることを知り、

古臭い製造方法や手間の掛け方が、
決して旧く弊害のあるものではなく、賞賛すべきものであることに気付き出します。

日本酒で起きたことは、今尚水面下ではありますが、醤油や酢などの世界でも起きています。

大手メーカーの味や製法に飽き足らない消費者が、
手の届く範囲で小規模に製造しているお店の商品を求めるようになってきています。

今は、ネットを通じて全国(全世界)の人に知られ、全国へ出荷できる体制にありますので、
磯自慢同様、品薄状態になる程人気が出る商品が多くなっています。


地方の小規模事業者にとっては、大きなチャンスではあります。
しかし、ここにB層文化の消費者層という概念が出てきます。






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