固定観念

世界的には圧倒的心酔者が多いですが、ジャックブレルと言っても、日本では知っている人は少ないようです。

私がブレルを知ったのは、もう30年以上も前になります。吉祥寺のベルエポックという店に出入りするようになった頃でした。
私が通っていた頃は、横森正さんがピアノを弾いていました。出演者も魅力的な人が多く、とても雰囲気のあるお店でした。

私はここでブレルの特異な音楽を知りました。孤独、変人、孤高等々評されるブレルですが、その音楽は鬼気迫るところがあり、大切なところだが、あまり表に出したくない心の部分を鷲掴みされるような気がしました。
一時期、私はブレルのレコードを何度も何度も聞いていたときがありました。

さて、私は長年、ブレルは孤高の人で、その才能は一般受けせずに、存命中は不遇だったという思い込みをしていました。
ごく最近、ユーチューブでブレルの映像を見るようになってから、自分のブレルに対する印象が全くの思い込みだったことが分りました。
映像で見るどのコンサートも満員の聴衆で、すごい盛り上がりようなのです。

調べてみると、ブレルは、ずっと国民的な歌手だったようなのです。

自分の場合、若い頃の学習というのは、自分の少ない情報と、その情報だけで、しかも判断力も乏しい頭で、物事を理解というよりも単に分類してきただけ、ということが非常に多いのではないだろうかと思うときがあります。

今更しょうがないな、と居直っているのですが。


さて、吉祥寺南口を出てすぐの本屋さんのあるビルの2階にあったベルエポック。2年前に行ってみたら、その前年に閉店していたことが分り、何とも言えない気持ちになりました。

それでも2009年まで35年間続いていた訳です。自分の人生と重なった年月はほんの僅かですが、記憶の中には甘美な思い出として残っています。その数年が、さながら自分にとってのベルエポックだったように・・・









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