マスコミの難しい立場と報道に対する責任について(2)

7月8日の続きです。

読者の情緒に訴える論調で、読者の情感を刺激して、主張に共感を持ってもらおうとする新聞社が目につくなか、いつも理路整然と主張をするのが産経の特色と思っていましたが、今回のオスプレイの論理構成には不信感を感じました。
この姿勢には、ジャーナリズムの精神が感じられないと思います。

元々、基地に出て行って欲しいという地元の人にとって、輸送機の能力の向上など関心外の方は少なくないと思います。迷惑なのは変わらないでしょうから。

基地を受け入れざるを得ない住民の方々の心配は、やはり第一に安全面でしょう。国防意識が薄いなどという批判は次元が、切り口が違うと思います。


そういう状況で、先日の事故率は海兵隊からの数字ですが、その数字をそのまま載せて、安全問題を論じるという姿勢に、胡散臭いものを感じます。
というのは、産経新聞のどこを見ても、普天間に配備されている、肝心の現機種CH46の事故率はどれくらいなのかというデータが見当たらないのです。

そのデータを抜きにして、40年以上前の引退勧告間近の機種とを比較して、航続距離等が劣っているから新機種に変えるべきなどという論理構成の主張は、新聞社として恥ずかしくないのかなと思います。引用記事でしたら、この報道姿勢もありですが、このトーンの主張は同紙の一面から三面に渡っていました。しかも社説(主張)の一項目も同じ論調で、このテーマを載せています。

安全問題を地元は心配している訳ですから、性能の前に比較すべきは現機種と新機種との安全比較です。事故率の比較をすべきです。先ずは、心配の原因となっている点にアプローチせずして、他の事柄をアゲツラッテも、心配している当事者の方々は納得するわけがないでしょう。

多分、報道したくない数字なんだろうと思わざるを得ません。
現機種のCH46は比較的安全な機種で、事故率は相当低く、オスプレイの1.93以下なのだろうと想像できます。

この牽強付会のような論理構成は、産経が民意に右顧左眄する新聞社でなく、明確な主張を持つ新聞社であるからこそ陥りやすい点だと思いますが、明快に主張をするには、どっちつかずの新聞社よりも、はるかに自分の身をキレイにする必要があります。
自分への厳しい姿勢を貫くことが、いっそうの信頼感を得るものと思います。





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