国債と金利の動向(3)

日本は過去に預金封鎖を行っています。

非常に巧妙な方法で、そのやり方のうまさというか、ずる賢さに私は感心しました。
日本って国は、こーゆーこともするんだーと、冷水を浴びせられた気がしました。

過去に実際に行ったことのある政策は、未来の選択肢でもあります。
何を行うと、どういう現象が生じるか、実績データがありますから安心です。

また、1997年には当時の大蔵省内部で預金封鎖の検討が行われたそうです。
国会でも、質問されたこともありました。

経常黒字国で対外債務が少なければ、デフォルトの可能性は少ないと思います。

しかし、国内の銀行がちょっと国債を売れば、売りが売りを呼び、国債は暴落する恐れがあるのではないかという危機感を、一昨年の秋からの出来事で私は実感しました。
日本国債安定の理由は、盤石なものではないと感じました。


さて、伊藤元重氏によりますと、国債引き受けの期待の大きかった家計の貯蓄率が減少していて、米国の貯蓄率より低くなったそうです。
貯蓄率がマイナスになるのも時間の問題とか。
驚きです、楽天的なキリギリスのようなアメリカ人に、貯蓄率が抜かれてしまった!

片や、企業は利益を設備投資や仕入れ等に廻さないで貯蓄をしている傾向にあるそうです。
売れない物が多いので、設備投資は怖いですよね。価格も下がってしまいますし。

実は、この企業の貯蓄が国債の引き受けの原資にもなっているということなのです。

つまり、景気が悪いため企業が資金を投資に回さず、貯蓄に廻しているのが現状であること。
そして、その資金が国債を支えている、というのが今の日本の安定を支えている構造になるようです。

この構造からすると、景気が良くなれば、企業は資金を寝かせずに投資に廻したりしますので、国債の買いこみ資金を引き上げて設備投資等に廻します。
国債を支えていた資金が引き上げられると、国債はダブつきます。外資が買ってくれない日本国債です。

国債の価格は下がって(暴落という言い方はやめておきましょう、怖いから)、金利は上昇。
金利が上昇すると、国債の償還が大変になります。

企業の景気が良くなっても税収が増えるのは先になります。しかし、プライマリーバランスを0にする程法人税を徴収したら企業は国外に逃げてしまいます。
企業の業績が上向いても、国債の償還ができなくなり、そのための国債を発行します。国債発行額を増やさないと収支が合わなくなります。
一層の国債の増発で、更に国債の価格は下がります。
金利は更に上昇。
ハイパーインフレなどという言い方もやめましょう。怖くなってしまいます。

この悪循環はどうやって止めたらよいのでしょう。

やはり預金封鎖して、国民の預金で穴埋めかなー。
これなら政治家も官僚も頭使わなくても済みますから。
でも、グズグズしてると預金残高はどんどん減ってしまいますからね。

預金を没収しないで、官僚と政治家の智恵で、チマチマとした対応をやっていたら、
(今までやろうとしてもできなかったことですので、チマチマとしか言いようがないですね)

その間に、紙くず並みに下がってきた日本国債をかき集めて、
日本を属国にしようとする国も現れそうな気がします。


現在は非常に不安定な均衡状態にあるように思えます。







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