思考訓練と思考停止(4)

冷静に相手の主張とこちらが把握している事実とを比べて、論理構成を築き、相手が納得しやすい主張、第三者の国にも理解しやすい主張をしていくことが、国際社会の交渉に際して大変重要なことだと思います。

もちろん、第三者の国の人々の多くが理解し納得するような説明を相手に示しても、当事者である相手は納得しない場合が多いでしょうが、事あるごとに説明できる機会を作り、事実に基づいた主張をしていくべきと思います。

また、何度も何度も真摯に説明を行うという行為を、当事者である相手国以外に、先進国やアジアで中国等との領土問題を抱えている国を始め、世界の国々へのアピールを積み重ねていけば、国際的にも日本が言いがかりをつけられているという認識が世界の常識として通用するようになるでしょう。

領土拡張のエネルギーの旺盛な国に、道理を尽くしても相手は納得はしないでしょう。相手にとっては、正しい論理が重要なのではなく、領土拡張が重要なのですから。
正義などは領土拡張を合理化する理屈付けで、後付けで良いのです。信義誠実な行動原理のない国では、正義は自分が守るべきものではなく、正義を唱えることで、相手の行動を縛るために使っているだけです。


世界の国々へのアピールを積み重ねることで、世界の多くの国が、日本が正しく、中国がとんでもないことをしようとしていると認識してくれることは、中国の行動の抑制にもなるでしょう。領土を奪って日本を叩けば、中国は世界から孤立するかもしれない、経済政策が行き詰るかもしれないという不安は、善悪による行動基準が働かない国でも、功利的な強い理由として行動を縛ることになるでしょう。

憲法第9条を守ることが、世界平和にもつながるという、国際的な行動原理が読めない日本という国は、外交面でとても対処しやすく、脅しやすく、また、ちょっとおだてれば舞い上がる政治家も多く、極めて御しやすい国だと思います。
日本など、やがて世界地図から無くなるという主旨の発言をしたという李鵬首相からしたら、日本などは子供に飴と鞭を与えるようなものなのでしょう。


さて、日本は尖閣諸島の現地調査を何度も行い、無人島であり、中国・清朝支配下にもなく、また他のどの国の支配下にもないことを確認しました。
その結果、日本政府は、1895年(明治28年)に尖閣諸島を日本の領土に編入することを閣議決定しました。


フォトジャーナリスト山本皓一氏が、沖縄県石垣市役所で探し出した貴重な歴史的文書があります。
中国政府(中華民国)が1920年(大正9年)、魚釣島石垣島の島民らに送った「感謝状」です。

1919年の冬、中国福建省から船出した中国漁船「金合丸」が暴風雨に遭遇しました。「金合丸」は魚釣島に漂着座礁しました。
船長以下31人は魚釣島の島民に救助され、手厚い保護を受けました。いったん、石垣島に移送された後、31人は約半月後に台湾経由で福建省に帰ることができました。

先述のように、尖閣諸島は1895年に、日本政府がどの国にも属していないことを確認して閣議決定により領有を宣言しました。

この漂着事故発生当時、魚釣島では古賀氏による海産物の缶詰・加工やアホウドリなど海鳥の羽毛採取などで栄えていました。

さて、事故の翌年の1920年5月、中華民国駐長崎領事・馮冕から、海難救出に尽力した魚釣島石垣島の島民ら7人に感謝状が届きました。
山本氏が見つけたのはその一枚だそうです。

感謝状の3行目に、海難発生場所の記載として、「日本帝国沖縄縣八重山郡尖閣列島」の記載があります。

また、最後の方には、
深堪感・・・表謝・ 等の感謝の表明と思える記述があります。

これは、中国政府が尖閣諸島を日本領土と認識していた確かな証拠となります。公式文書です。
山本氏はこのほか、当時、漂着事故に対応するため、沖縄県内務省、外務省、在支那日本公使館、在長崎中華民国総領事館などが交わした29通の公電記録を発見したそうです。

 
1968年(昭和43年)に尖閣諸島付近での海底調査で石油や天然ガスなどの大量地下資源埋蔵の可能性が確認されてからの1971年、中国が尖閣諸島の領有を主張し始めました。

現金なものです。天然ガスなど海底資源があると分かるや、自国の領土にしてしまうのです。

しかし、1920年に公文書で尖閣諸島が日本の領土であることを中国自らが認めていたのです。


(日本には、外国の遭難した船の乗組員を助けたという史実が数多くあります。日本では困った人を助けるのは当たり前のことです。海に放り出された外国人を、農村や漁村の人々は、当然のことのように救助しているのです。
助けられた国では、今尚、その史実を教科書に載せて教えている国もあります。そういう教科書を読んで大きくなった子供達は、もちろん日本に親しみを持ってくれます。

経済的な市場が魅力的だから、大国に言うべきことも言わず阿る日本人。

日本では偉人の逸話や、一般市民の逸話を教科書から一掃しました。
日本人が忘れてしまっている、過去に行ったことを、いまだに学校で教えている国があるのです。そして過去に日本から受けた恩義をいまだに忘れずに、日本を慕ってくれている国があります。
こうした国は、何を大切にして行動すべきかを私達に教えてくれています)





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