思考訓練と思考停止(9)

日本の学者の努力で、明代にも尖閣諸島琉球側と記していた中国史料の存在が明らかになりました。

中国は尖閣諸島を明の時代から琉球と認識していたことが判明したわけですが、これで中国の尖閣諸島領有の根拠が消失するでしょうか。
中国にとっては領有の根拠が否定されたところで、動じることはないでしょう。理由が問題ではありません。領土を拡張したいだけでしょうから。

明の時代に尖閣諸島が日本のものだと言うことが分かれば、元の時代には中国のものだったと理由づけするのでしょうか。
当然、元と今の中国との民族的な継続性があるのかが問題になりますので、そこを問われれば、それでは唐の時代、いや魏呉蜀の時代は中国の領土だった等々となり際限がありません。

歴史を遡って証明ごっこを行うのも面倒ですので、いっそ、石器時代はどうだったのかという議論でもしたらどうでしょうか。
ただし、石器時代の住人が漢民族のDNAを有しているかという証明も必要ですので、日中共同で遺跡の調査でもやりましょうか。

おっと、日本は大陸と陸続きだったので、日本本土も中国の領土だという主張も出てきそうです。

現在の人類はアフリカから出てきたと言われますが、本をただせば、皆親戚みたいものなんでしょうが。

しかし、これは笑い話ではありません。

以前から言われることに、琉球は中国の属国だった、琉球は中国の大陸棚にある、ゆえに中国領だというものがあります。
いくらでも理屈はつけられます。沖縄や対馬尖閣諸島も、中国領になってしまいますし、現に中国はそのつもりでいると私は思います。


尖閣諸島は日本が実効支配しているとは言い難い状態ですので、中国海軍の手によればあっという間に取られてしまうでしょうが、対馬や沖縄は日本人が住んでいますので、そうは簡単にはいきません・・・と思われますか?

尖閣諸島の領有は武力を使うかもしれませんが、日本人が住んでいる島は最初から乱暴な方法は取らないと思います。

アメリカがハワイを乗っ取った時の事例を研究して、現代において事をスムーズに行うのにはどうしたら良いかという面から戦略を組んでいるものと思います。


ところで、某新聞の記事には、沖縄在住の方の発言として、、・・・「日本は祖国じゃない」と感じるようになった。沖縄の歴史や文化を学び、中国の影響を色濃く受けていることを知った。・・・等の記事を載せています。
沖縄の内部から、また、日本の国内から、沖縄を日本と切り離す動きが出てきているのでしょうか。

また、先月には、中国軍の現役少将が中国のラジオで、「日本は沖縄から退くべきだ」と主張していたそうです。
(韓国紙の東亜日報が7月13日に北京発で報じた記事を、日本で配信していました)

報道によると発言したのは中国国防大学戦略研究所長の金一南少将だそうです。
肩書から判断すると影響力はありそうで、中国軍の本流とも言える戦略思考を、ある程度代弁しているとみて良いのではないでしょうか。

金氏は12日に放送された中国ラジオ公社とのインタビューで、「釣魚島(沖縄県尖閣諸島の中国名)に関しては日本側に必ず、行動で見せてやらなければならないが、問題の視野をさらに広げて沖縄の(中国への)帰属問題を正式に議論しなければならない」と述べたそうです。
さすが、現役将校勇ましいですね〜。

金氏はさらに「沖縄は本来、琉球という王国だったが1879年に日本が強制的に占領。当時使われていた清国の年号と漢字などを捨て去った」などと指摘。そのうえで「琉球がどの国に帰属し日本がいかに占領したのか、詳しく見なければならない」と強調。
結論として「日本は琉球から退くのが当然だ」と主張したといいます。

この種の意見は時折問題になりますが、現役将校が公然と発言しているということで、その内容に対する中国の真剣味が分かります。

氏の発言の中の、『釣魚島(沖縄県尖閣諸島の中国名)に関しては日本 側に必ず、行動で見せてやらなければならないが、』という表現は、尖閣諸島は武力で乗っ取ってやるということでしょうね。

尖閣を奪ったところで、アメリカが軍艦を差し向けると言うことは考えにくいと思います。日本から、どうにかしてよアメリカさんと言われた時には、アメリカも中国を非難するでしょうが、結果的に平和的解決を望むということになるのではないでしょうか。

いかに同盟国と言っても自国の領土を守るのに体を張ろうとしない国のために、大事なアメリカ兵の命を危険な目に晒さないと思います。アメリカは自国の兵の生命の危険に対して敏感です。
アメリカは同盟国です。日本の政治家はアメリカ軍を傭兵とでも思っている節がありますが、日本のために他国の兵を危険に晒すことがどういうことかなど、きっと真剣に考えたこともないのでしょうね。

中国は、アメリカの日本に対する温度を見極めようとしているのでしょう。
先般の上陸劇は、日本の行動のテスティングでもありますが、アメリカの対応や発言の内容を吟味して、アメリカがどう動きそうだということを分析する意味もあったと思います。

こんな最近の空気に不安を感じますが、
日本国籍を取得した政治家や芸能人、マスコミ関係者は数多いですが、沖縄に関わる人が多いのも以前から気になっていました。

杞憂であれば良いのですが。





'