日航再上場に見る経営者の身の律し方

日本航空が無事に再上場を果たしました。

日航に対しては、不公平だと言う声を聞きます。
繰り越し欠損金の期間が7年から9年に延長されたりしています。税の優遇措置が今後も7年間続くということです。
法人税の免除額は、延べ9年間で4,300億円を超える見通しとのことで、過剰な支援で、航空業界の競争を歪める等の批判の声もあがっています。

ともあれ、出航に際しての日航の競争力は恵まれた条件でライバルに大きく水をあけることが可能な状態です。
日航は12年3月期決算で過去最高の1,866億円の純利益を上げていますが、全日空の純利益の6倍にも上るとのこと。

日航の背中を見ながら、やっと追い越した全日空からしたら、国の優遇策は面白くないことでしょう。


日航は身を削って今があるわけですが、国や京セラの稲盛氏らによる力を借りての再生でしたので、自主再建とは言い難いので、あまり偉そうなことは言えない筈です。

また、割当増資に乗じて、京セラや大和証券グループ本社が、また日航役員が未公開株を廉価で手に入れています。
京セラや大和証券グループ本社は、上場により五十億円近い利益を得るそうです。
稲盛氏のカリスマ性はさておき、京セラや大和証券グループが手を貸すのは、お金になるから協力するので、これは当然とは思います。


しかし、何かおかしいな〜と思います。

日航にとって、これからが正念場です。日航役員が『不労』利益を得るのは、まだまだ早いのではないでしょうか。
役員さん達は、上場してから業績を上げた上で利益を得るべきであり、上場してからの株主総会の議決によるストックオプション等で自らの報酬を得るべきだと思います。

再建には血の滲むような努力があったろうとは思いますが、、

銀行団の5,215億円の債権放棄による借金棒引き。
7,000億円を超える公的資金の投入。

これらのお蔭での業績急回復ではないでしょうか。
今後も税の優遇により、抜群の競争力も約束されています。


いや、48,000人中16,000人もの人員削減の努力があると言うかもしれませんが、

役員さん達が自ら泥を被って社員や関係者達を説得して辞めてもらったのでしょうか。
労組執行部や人事部担当者の、神経・心・体をすり減らす日々の積み重ねの結果ではないでしょうか。

本来、人員削減した経営者が人員削減によって得た成果を、自分の実績などにすべきではないと思います。
辞めてもらった社員や関係者達の思いに感謝することはあっても、そこから得た成果を自らが享受するなど、その感性には違和感を覚えます。


現在、国内でも格安航空会社の台頭で、航空業界の競争は一段と厳しいものになっています。
世界の情勢に立ち遅れて業績悪化に拍車をかけた日航が、恵まれた環境の中で、今後厳しい競争に打ち勝つことができるでしょうか。





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