平和を貪っている間に

中国の次期トップと言われている習近平国家副主席は、対日強硬派と目されていますが、
先日の21日のASEAN博覧会で、南シナ海の領有権問題を平和的に解決すると述べ、協調路線をアピールしたそうです。

南シナ海といえば、南沙諸島などでは、島を奪われたベトナムやフィリピンが体を張って中国に対抗しています。


中国は南シナ海を片付ければ、東シナ海に力を入れてくるだろうこと、つまり尖閣諸島の実効支配を図るだろうということについては何度か触れましたが、
今回、南シナ海にけりをつけるのではなく、手強いフイリピンやベトナムには領土奪回の意欲を削がせるよう、中国市場がフイリピンやベトナムASEAN諸国にも経済面でメリットがあることを強調することでくぎを刺し、平和的解決と称して一時棚上げにしようと考えたようです。

砲撃戦も辞さないベトナムなどのASEAN諸国よりも、東シナ海であれば、相手は、弱腰外交で腰砕けの日本と、その後ろ盾と見られているアメリカです。


中国はこれまで事あるごとに、アメリカに対しても中国市場が魅力的な市場であり投資対象であることをアピールしています。
先の尖閣上陸劇では、アメリカの日本に対する入れ込み具合と、その温度の分析も行ったでしょう。
中国は日米安保条約等を精査して、アメリカが尖閣諸島に介入する場合、日米安保条約の第5条、第7条、及び国連憲章に抵触するだろうことを見込んでいます。つまり、アメリカには日本に加担する正当な根拠がないことを国際社会に発信しているのです。

アメリカはこの点が足枷になっていることもあるのでしょうか。口先では、尖閣諸島でも日米安保条約が適応されると言いながらも、場面によっては、双方の平和的解決を望むと言っています。

つまり戦乱になった場合、平和的解決のための仲裁は買って出てくれるでしょうが、中国に対して攻撃を行うかというと、そこまでやるだろうかと疑問に思います。

現状でも、尖閣に出動できるよう船の配置をして、紛争を抑止させようという努力は見られますし、中国海軍が上陸しようとした場合にも船を差し向けて、上陸をしにくいような行動は取ってくれるのではないかと思います。しかし、中国が海軍を上陸させた場合、アメリ海兵隊がその上陸を阻止するかどうかというと、それは日本の対応次第ではないだろうかと思います。
しかし、日本政府がアメリカを巻き込むほどの対応を取るとは思えません。


中国は、次のアメリカ大統領選挙で、同盟国日本に対しての温度の高い共和党は勝てないだろうと読んだのでしょう。
日本に対する心証の悪いオバマ民主党政権が、あと4年間続くとすれば、今後の4年間に日本の領土を根こそぎ奪う良いチャンスと見ているのではないかと思います。
共和党の有力議員の中には、アメリカは友好国日本の領土を守ると言い切る人達もいます。
これが民主党になるとトーンが変わりますし、民主党政権でやり玉にあげられている一つが経済対策です。中国に対しては、対外的には強面のままで友好国の立場を重んじる風を装いつつ、中国市場を垂涎の目で見ながら揉み手をしてはその市場に入り込んでいくというのが、今後のアメリカ民主党政権の姿勢ではないでしょうか。


東シナ海の豊かな海洋資源を手に入れてから、一時棚上げした南シナ海の島々を手に入れていく。
中国のシナリオ通りに事は進みそうですが、人道無視のこの大国、崩壊・分裂の兆候も出ているように思えますが、政府の強権がとてつもなく強大です。

どちらにしても、今の日本政府では満足な対応ができそうにないと思います。





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