憧れの地の大いなる幻滅

ドキュメンタリー番組というと、私は真っ先にBBCの番組を思い浮かべます。BBCの番組の質の良さについて、以前触れたことがありますが、番組のテーマはとても魅力的なものが多く、その映像は壮大で迫力があり、画面についつい引き込まれてしまいます。
作品を作るうえで、調査・取材に相当な労力をかけているのも感じます。
私は番組の中で初めて知ることも多いのですが、教訓臭いところがなく、知的好奇心を満たすという意味でも、見た後にも適度な満足感に充たしてくれます。

現在BS朝日で、BBCの地球伝説を放映しています。私は録画したものを見ていますが、スケールが大きく魅力ある映像で、とても落ち着いて見られます。


さて、日本のドキュメンタリー作品でも質の良いものがあります。制作費の関係もあり、やはりNHKの作品が抜きん出ています。
最近では、昨年の9月に、BSプレミアム「宇宙の渚に立つ」、NHK総合「NHKスペシャル」とで放送した作品が出色の出来でした。

国際宇宙ステーションからの地球の映像が素晴らしく、私はこの番組を見て、見る視点によって、物の考え方も変わるものなのだなと、感じました。


宇宙ステーションに滞在している古川飛行士が撮影した映像や、宇宙ステーションからのLIVE映像を放送したものですが、NHKが開発した超高感度カメラにより、世界で始めて映像化が可能になった映像も目にすることが出来ました。従前のカメラで撮影しても、映像として件の現象が捉えられなかったそうです。

毛利衛さんが、以前宇宙空間よりカメラに収めたビデオを、地球に戻ってから見たところ、件の現象が映像化されていなかったそうです。
番組では、その現象を、超高感度カメラにより、はっきり映像化していたのです。
宇宙から見た雷の映像や、宇宙から見たオーロラ、地上に向かって頻繁に放電する雷の上部で、思いついたように宇宙に向かって放電するスプライトと呼ばれる現象など、
今まで映像化できなかった現象が鮮明に映像化されていました。
私は初めて目にする映像に、目が釘付けになりました。見ているだけでワクワクする素晴らしい映像でした。
恐らく、番組を見た子供達は、宇宙に一層の興味を持つことになったのではないかと思います。


このNHKのドキュメンタリー番組から私が気付かされたことは、自分にとってはとても深いものです。

先述しました、見る視点によって、物の考え方も変わるものなのだなというのは、超高感度カメラというフイルターを通すことで、それまでの世界観と変わる場合があるということです。
以前触れたことがありますが、私ははこの映像を見て、フイルターが変わることで世界観も変わるものだとつくづく感じました。
つまり、認識する能力が変わることで、思考まで変わるということなのです。

それゆえ、認識・思考する力を磨き、鍛え、強くする努力を怠ってはいけないと、強く思いました
ここで、認識・思考を強くするということは、既存の認識思考する枠を強くすることではなく、その枠や殻を溶かしてしまうことも必要になるということなのです。

この気付き、私にとっては心に沁みるものでしたが、作成しているNHKにとってはそうではないようです。



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