憧れの地の大いなる幻滅(3)

1980年4月から1980年代終わり頃まで放映され人気番組となり、シルクロードブームを起こした、NHK特集 シルクロード
日本からの、世界からの観光客で賑わうようになった歴史のある街。

この観光客で賑わっている歴史ある街の、すぐ近くで、中国は核実験を行っていました。核実験の中には1個で広島原爆の300個分以上の威力の物もあったいいます。
シルクロードの街は、この核実験場の近くに点在しています。


札幌医科大学教授の高田純氏の研究によると、中国はシルクロードのある東トルキスタンで、1964年から1996年まで、46回・22メガトンの核爆発・実験を強行しているといいます。
高田教授によれば、少なく見積もっても東京都の11倍以上もの広大な大地が核の砂で甚大な汚染を受けたと推定されています。19万人以上が急性死亡し、129万人以上が甚大な核放射線影響を受けたと考えられるということです。

NHK特集シルクロードが放映され、日本人がシルクロードを訪れるようになったのが1980年以降ですが、中国はそれ以前にも、それ以後にも核実験を行っているのです。
日本のシルクロード旅行者は47万人といわれていますが、憧れの地で被曝している可能性があります。
中国政府は、核実験の影響はないというのですが・・・


中国から亡命し、ウイグル人の組織をまとめるラビア・カーディル女史は、中国共産党機密情報には75万人が核実験で死亡したという記録があると訴えています。
旧ソ連でも憚られた地上核実験を、中国政府は住民に知らせることなく行っていたのです。

ラビア・カーディル女史といえば、今年、世界ウイグル会議を日本で開催したときの議長でしたが、日本が開催を許したことに中国は異常な位の怒りようでした。

この時、ラビア・カーディル氏は都内で開かれた「世界ウイグル会議を支援し中国の覇権と闘うシンポジウム」(大会会長・平沼赳夫たちあがれ日本代表)に出席し、平沼赳夫氏に沖縄・尖閣諸島を買い取るための東京都への寄付金を渡した後、「中国政府はどこの領土であっても、『歴史的にわが国の領土』と主張する」と述べたそうです。

尖閣諸島の問題をみていると、中国にあっては、理由は取ってつけたもので、その主張に真面目に反論しようとすることも、全く無意味なことではないだろうかと思えてきますが、息子二人が獄中で囚われたまま、海外で中国に強硬に抗議をしているラビア・カーディル氏のこの言は、中国の本質をついているのではないかと思えます。


2009年7月5日に、ウルムチでデモが起きた際に、ウイグル人400人が殺されたと言われているウルムチ事件。中国政府は、死者数を190人超と発表。しかも、その大半が暴動に巻き込まれた漢民族であったと主張しています。

日本のマスコミは、極めて一面的な現象面しか報道しません、しかも中国政府の意向を敷衍した報道に思います。
日本のTVや新聞からでは、何が起きているのか分かりません。
日本での報道が歪曲されているように思う時、自分が事実に近い部分に触れることができると思う情報源は、You Tubeへの一般人の投稿映像と、BBCの報道です。
両者から垣間見ることのできる、ウイグルの「現実」を通して、中国の世界観がどういうものかということを理解できるように思います。

私は高校時代、歴史を勉強していて中華思想というものが、理解できませんでした。
私の中華思想の理解は字面だけです。文章として覚えただけで、どうしても感覚的に理解できませんでした。
古代文明の発祥の地で中国の国土は広いといっても、ソ連の方が広いし、世界に覇を唱えたスペインや、イギリス、アメリカの存在があるのに。
また、ヨーロッパにはフランスやドイツなど強国がひしめいているのに、どうして自分達が世界の中心と考えられるのだろうかと、私にとって不思議というか、理解を超えた感覚です。

その理解できない感覚が、渦巻いているのがウイグルであり、チベットであり、少数民族への中国の弾圧です。

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