公共投資から地方分権を見ると

公共投資は大きな金額が動きます。
特定のゼネコン等工事業者とコネのある政治家は、そのコネのある会社に発注して、工事金額の一部が自分の懐に入るように画策したりする場合があります。

過去にも、***疑惑などと言われ、黒い噂になった政治家は数多いですね。長い間政権についていた自民党政権、特に田中角栄元総理から派生した経世会の面々には、公共投資絡みでダーティーなイメージがつきまといます。


また、政治家は影響の大きな情報を真っ先に知る場合も少なくありません。

例えば普天間基地の移設に際して、基地を辺野古へ移設する案が有力になりそうだと察知するや、日米合意の発表前に、小沢一郎氏は、平成17年11月28日(登記簿によると)、辺野古に基地ができれば一等地となることが予想される、宜野座村漢那明記原(かんなみーきばる)にある1593平方メートルと、3601平方メートルの土地を購入していたと報道されました。(合計で、約1,571坪を、チャンネル桜の取材陣の聞き取りでは、現地の人の話で、坪2・3万の取引ではないかということです。3.5万円/坪が相場と言う人もいるようですが)

辺野古に基地が移設された場合、米軍関連の施設の建設に最適な場所だそうで、地価が大化けすることが見込まれていました。購入に際しては、登記簿謄本には担保設定がないそうです。借入無しで現金で購入する場合、担保設定はありませんが、間にゼネコンが介在していることを疑う人もいますので、はたして、この土地の売買代金が現金で支払われたのかという疑問も取材班は呈しています。

平成17年といえば、自民党の小泉総理が郵政民営化を標榜して9月の衆議院議員選挙で圧勝した年です。この頃民主党政権がじきに誕生すると思っている人は少なかったと思います。当時小沢氏は民主党衆院選惨敗の責任を取り岡田代表と共に副代表の職を辞した直後のことです。

政治の表舞台では、基地移設反対を表明しながら、陰では基地移設を目論んで土地の転売で利益を得ようと、実力政治家である地位を十分に利用していたということでしょうか。 
 
チャンネル桜の映像では、現地は、かんなタラソ沖縄やカンナリゾートヴィラ等が近くにあり、海の見える小高い未開発の土地です。
坂を下りると砂浜が続くそうで、小沢氏は不動産屋の才覚も十分なようです。所有する不動産も実にたくさんありますので、不動産売買は手慣れたものでしょう。
周辺はダムの多い地域で、件の土地は、350億円程公共投資が行われた、かんなダム事業の合同地主会の会長さんからの購入だそうです。一般の方や普通の不動産会社では、購入するのが難しいルートに思えます。

株式の世界では、重要な情報を知り得る立場にいた人が、その情報によりその会社の株を売り買いして利益を得た場合、インサイダー取引となり犯罪行為になりますが、不動産の取得に際して、重要な情報を知り得た人が、他を出し抜いた場合や、その地位にあったから購入できたとしても、違法性がない限り問題にはなりません。(一般の個人の方が反復して売買を行うのは宅建業法で禁じられていますが)


この事実が判明したのが、民主党政権樹立後の2010年のことで、チャンネル桜のスクープで産経新聞も記事にしました。チャンネル桜は資金不足の零細報道局で調査力にも限界がありますので、大手マスコミが究明してくれるならば資料提供すると呼びかけました。しかし、その後話題になることもありませんでしたので、大手マスコミにはこうした問題を追及しようとする気はなかったのでしょう。

報道された時期は民主党政権が今のような目も当てられないような時期ではなく、小沢氏以外の民主党議員しかも閣僚も辺野古周辺に土地を購入していたそうですので、民主党政権の立役者である大手マスコミが追及するわけにはいかないのは良く分かりますが、、、
自民党国民新党の議員も辺野古周辺の土地購入をしていたそうですが、大手マスコミがこの自民党議員を叩けなかったのは、身内に飛び火してしまうからでしょう。

小沢氏は角栄氏譲りか金丸信氏譲りか、錬金術に長けています。私腹を肥やすよりも選挙資金を得るための行動なのかもしれません。
しかし、私達国民の多くは、額に汗して日々頑張って働き、その頑張った努力が報われるような、極めてまっとうな社会を望んでいると思います。
青いと言われるかもしれませんが、上記のような手法で運営される政治によって形成される社会が、私達の望んでいる生活を担保する社会とはとても思えません。

さて、こうした公共投資絡みには、ダーティーなイメージが伴いますが、これは公共投資の政策そのものの価値とは何の関係もないことです。
公共投資に絡もうとする政治家の資質の問題であり、公共投資を排斥するのではなく、こうした不透明な手続きをどうやってガラス張りにしたり、チェックしていくかという方向で知恵を出していくべきものと思います。

また、ダーティーさがまとわりつくのは、公共投資だけではありません。ダーティーな政治は、具体的施策にダーティーな政治家が絡むことで生じるからです。

例えば、北朝鮮絡みでもあります。といっても、P業界からの裏金還流ではありません。
小沢氏の師匠である金丸信氏の自宅から金地金が出てきた事件(東京地検の捜査で、数十億の不正蓄財が露見した際に金の延べ棒が発見された事件)では、北朝鮮と何らかの取引をした見返りではないかと言われました。(当初、北朝鮮の金地金同様、刻印の無い金地金と報道されていましたが、ウィキペディアによりますと、やはり北朝鮮との関係が噂されていた麻原彰晃が隠し持っていたものと刻印番号が近いそうです)
この他、この類のものは、中国絡みでの噂もありますし、アメリカ絡みでも同様です。

公共投資の場合は、むしろ、国益を直接犠牲にする恐れが低いだけに、公共投資に絡むダーティーさの方が、まだましかもしれません。
公共投資の代金が、見返りを目的に例えコリアン企業に支払われたとしても、国内におちるお金もあるでしょうから、波及効果は期待できます。