憧れの地の大いなる幻滅(16)

以前、BBCについては、いろいろな批判があることを記しました。
しかし、その批判は日本のマスコミに対する批判とは次元の異なるものです。

日本にもBBCのような放送局があったら良いのに、という感想を良く聞きます。
しかし、イギリス在住の日本人の中には、BBCを日本人は美化するけど、普通の放送局だよ、などと言う人もいます。
普通の放送局。そうかもしれません。海外メデイアの中では、群を抜く存在ではないのかもしれません。
しかしながら、私もBBCのような普通の放送局が日本にもあったらよいのになと思います。

BBCの姿勢を垣間見ることができる事例を、下記にウイキペデイアから転載してみます。

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2003年5月29日、BBC Radio 4のニュース番組「TODAY」の中で、

アンドリュー・ギリガン記者は前年9月に政府が発表した「イラクは45分以内に大量破壊兵器の展開が可能」とする報告書につき、政府の圧力によりイラクにとって都合の悪い形に【「よりセクシー(扇情的)な内容」にするように】−脚色・誇張させられたと報じた。

これに対してイギリス政府は全面的に否定し、謝罪と撤回を求め、BBCと政府の対立が深まった。

政府側は、このニュースの情報源が国防省顧問のデビッド・ケリーであると発表。
ケリーは7月15日に下院の外交委員会に召還されて厳しい尋問を受け、
その3日後に遺体で発見されるという事態が起きる。

これを受けて、BBCは情報源がケリーであったことを認めた。
真相を解明する独立司法調査委員会が結成され、その委員会に召還されたギリガン記者は、報道は「口を滑らせた」発言であったと証言した。

翌2004年1月28日に委員会は報告書(ハットン報告)を発表した。

その内容は、
1.ケリーの死因は自殺である
2.BBCの報道内容には問題があった
3.ブレア首相には報告書やケリーの死についての責任はない というものであった。

この報告書の発表により、当時のBBC会長、グレッグ・ダイク(Greg Dyke)は辞任を表明し、報道機関としての信頼性を問われたが、辞任直後に行われたイブニングスタンダード紙の調査では、49%のイギリス国民が「ハットン報告を信用しない」と答え、56%がBBCが非難を受けるのは「不公正だ」と答えた。

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私はイギリス人というのは、アメリカ人と比べてとっつきにくい感じを持っていますが、報道機関に関しては、アメリカの報道機関(ロビイスト活動に積極的な中国や韓国などに取りこまれている記者が多いという印象を私は持っています)と比べると、批判はあってもBBCのスタンスとそれを支えているイギリス国民は敬意に値するものと思います。

日本の放送局の現状を思い浮かべたうえで、上記経過をざっと見比べてみると、「あり得ない!」という感想を持つ方も多いことでしょう。

上記のBBCの事例で感じるのは、ジャーナリスト魂です、志と言ってもよいかもしれません。
政治家からすると、多分BBCの尖ったところが鼻につくとは思いますが。


ところで、BBCはTVに限っても、チャンネル数が以下のように豊富です。

BBC 1の他に、
BBC 2(知的・教養番組など)、
BBC 3(若者向け娯楽番組)、
BBC 4(ドキュメンタリー)
CBBC(子供向け編成)
CBeebies(幼児向け編成)
BBC News Channel(ニュース専門放送局:旧BBC NEWS 24)

BBC Parliament - 議会中継、討論番組など
BBC World News(国際放送)
BBC BBC Arabic(アラビア語放送)
BBC BBC HD(ハイビジョン番組)

と、ずいぶんチャンネル数が豊富で、番組もきめ細かく視聴者に提供されているようです。


公共放送として有名なものは、私達の身近なNHKがありますが、
予算規模などは、この両者はどうなっているのでしょうか。


小林恭子氏によれば、BBCの収入は、

毎年約35億ポンド(約5,500億円)のテレビ・ライセンス料を一種の税金のように国民から強制的に徴収している。
NHKの受信料とほぼ同様の仕組みで、テレビ番組受信機を設置した人に課され、さらに放送業、ネット業、出版業などありとあらゆる分野に触手を伸ばす――。そんなBBCを英経済誌エコノミスト」(6月18日付)は聖書「ヨブ記」に登場する巨獣「ビヒモス」になぞらえた。
とあります。

会長の年収が多額だったり、組織が巨大になり過ぎたためもあり、大きな批判を浴びているようです。

世界中では約2万2,000人、国内では1万7,000人の職員が働くそうです。


さて、NHKはというと、平成23年度の職員数はNHKの資料では10,542人とありますが、これは管理職数が算入していないのでしょうか、約12,000人位とも言われていますが、BBCの17,000人と比べますと、チャンネル数の割には、人が多いように思います。

NHKの平成22年度3月の事業収入は、7,209億円で、純利益109億円となっています。
事業収入は、ここ10年ほど7,300億円前後で、この収入はBBCをはるかに上回っています。


放送業界の社員の高給のナンバー1は、フジと言われてきましたが、

NHKでは、高卒十数年の勤続年数(32歳位)で年収1千万円程ということが、立花孝志氏の内部告発で顕わになりました。

http://www.youtube.com/watch?v=hdjQ_UvXQNg

実際は職員の平均年収1,600万円程ではないかと言われており、フジとそれ程変わらないのかもしれません。

BBCよりは職員の待遇が良いと言うこともあるでしょうが、NHKとBBCのチャンネル数を比べると、NHKのコスト高が目立ちます。


肝心のコンテンツはどうでしょうか。
NHKの報道姿勢には、ジャーナリズム魂は見られず、公共放送と呼ばれながら、まるで日本の国益を考えていないかの行動に見えます。

http://www.youtube.com/watch?v=gDwPgln0lsk

http://www.youtube.com/watch?v=COHQFjcscCY&NR=1&feature=endscreen

http://www.youtube.com/watch?v=h6lEi8FWhNs

http://www.youtube.com/watch?v=P_4V8FYkNTY



NHKとBBCの重視している番組の質には大きな開きがあるようです。
NHKは、お金の掛かる映像などの見てくれや職員の待遇にお金を使うことに関心があるようです。
BBCが重視しているのは報道の質といったところでしょうか。

NHKの受信料を払わない人も依然多いようですが(立花氏の話では、個人の支払いは約50%とのことです)、最近は訴訟をちらつかせて支払わせようとしたり、これは大分前からですが、取立てに怖い人を使ったりしているようです。

実態が既に公共放送ではありませんので、実態に近い形で、中国共産党や韓国・北朝鮮とスポンサー契約をして、堂々と資金を入れてもらい、受信料収入からの「自立」を図ったらどうかとも思います。