日本の家電商品への不安

先ほど、ラスベガスでの家電ショウの模様をTVのニュースで見ました。

今や世界最大手のサムスンや、LG電子の韓国勢の他、シャープやパナソニックなどテレビ事業の立て直しを迫られている日本の電機メーカー各社も出展しているそうです。
日本のメーカーは、ハイビジョンの4倍の解像度を持つ「4K」と呼ばれるテレビの最新機種を目玉として韓国勢に対抗しようとしているようです。

解像度アップによって画面を鮮明にするという高機能化ということですが、これは当然高価格化にもなるでしょう。オリンピックやワールドカップなどが目前であれば、需要もある程度見込めると思いますが、今よりも鮮明な画像のTVに、その分の高い金額を、現在のシビアな一般消費者は喜んで支払うものでしょうか。

日本の家電メーカーの商品も、ひと頃の世界に通用しない日本の携帯電話機と同様、ガラパゴス家電などと呼ばれているようです。
良い物を作れば売れるに違いない、多機能なものならば消費者は高額で買ってくれるに違いないという、願望のようなものが、市場原理の背後の絶対的なテーゼのように盲信しているところがあるように思います。

もちろん、この信念が日本の物造りの質の向上を支えてきていたと言えますが、大概の家電商品が行き渡っている現在の先進国では、家電メーカーの商品は、商品価値と金額との関連で、消費者の購買欲を煽るという技術の差別化が難しいところにあると思います。
商品に別次元の価値を与えるような基礎技術が進展しないと、消費者は動いてくれないのではないでしょうか。

TVは現在、パソコンのように、基礎技術の商品ではなく、アッセンブラーの商品のために、日本で作るよりはウォン安の恩恵を浴している韓国メーカーが圧倒的に有利な状況と思います。
CPUのクロック数が上がったところで、商品の次元が変わるわけではないように、TVを見て認知することで、ワクワク感を感じないことには、大きな需要が見込めないのではないでしょうか。特に国内需要は、放送のコンテンツが劣っているために尚更でしょう。

さて、この家電ショーにトヨタ自動車が、レーダーとカメラ、周囲を察知する各種センサーなどを搭載した「レクサスLS600h」を披露するそうです。

このレクサスは、自動運転技術を目玉にしていますが、このカテゴリーではインターネット検索のグーグルが先行して2010年から技術開発を行っているそうです。

歩行者や他の自動車との衝突を回避し、詳細な電子地図情報に基づいて道路の走行レーン、信号なども感知することができるため、運転手不在でも道路を走ることが可能だそうです。

こうした技術はガラパゴス技術ではありません。
商品を別な次元からレベルアップさせるもので、需要を生み出す技術開発だと思います。

こうした技術への投資や、補完しあうインフラの整備なども、交通事故による経済損失をなくすための大変前向きな公共投資となります。官民での積極的な協力が求められることになるでしょう。

さて、家電メーカーが脱出できない袋小路は、日本という国が自立できないでいるメンタリテイーと似ているように思えます。