家電の続き

家電エコポイント制度により、特にTVの販売に関しては、メーカーを始め家電量販店、通販業者等大きく売上を増やしました。

その家電業界では、上半期の連結決算で有利子負債1兆2千億円という莫大な負債を抱えて、昨年からいろいろな憶測が漏れ伝えられるのがシャープです。
巨額の転換社債等の償還が続いていくため、今後の経営も綱渡り状態で予断を許さないようです。

子会社や取引のある関連会社を含めた従業員は420万人にもなるそうで、潰すようなことがあれば批難の矛先は取引銀行にも及ぶでしょうから、銀行も大変な重圧だろうと思います。運転資金に加え、今後の社債の償還時期に合わせて、綱渡りをしていくための、神経戦が続いていくことでしょう。


「エコポイントなどでテレビが売れたため市場が回復したと判断を誤った」
2012年8月27日に奥田隆司社長が労働組合を訪問した時に言った言葉だそうです。
何と、トホホな、お言葉。そのときの組合幹部のリアクションはどんなだったのでしょうか。

経済界って人材がいない訳ではないでしょうが、
実力があって見識のある企業人は、足を引っ張られたり、警戒されて敬遠されたりで、経営陣にはなかなか上がっていけなかったのでしょうか。
例え経営陣に加わったとしても、実力経営者の前では本音も言えず唯々諾々、といったところでしょうか。

シャープは取引先にも嫌われていたそうで、唖然としてしまいそうな内部の状況だったのだろうと思います。
その他、風通しが良ければこんな判断、こんな行動はとらないだろうにと思うことが、多々、、、


私は、購入したシャープの商品が、たまたまかもしれませんが、ことごとく故障が多かったという記憶があります。それゆえ、ある時期からシャープの商品を避けるようになりました。
恐らく、ちょっと変わった商品を発売するので、構造的に無理があったりするのではないかという納得を自分なりにしていましたが、いろいろの問題やらクレームやらを見ると、基本的な面での問題もあるのではという気もします。

実力以上に売上が大きくなってしまった田舎企業。それにしては大きくなりすぎました。

政府もシャープの救援策に廻されるのではないかなどと思える施策も出したりしていますが、円安に触れてきた環境の好転で救われればよいですが、焼け石に水でしょうか。
下手に政府が救援しても、シャープは依然競争力が回復せずに立ち行かず、税金も無駄になるといった結末になってしまうかもしれません。


そのシャープが、最近盛んにPRしているのが、IGZO(イグゾー)という高精細、低消費電力の液晶ディスプレーです。

もう充電を気にしない、驚きの省電力、などというフレーズで商品力のアピールを行っています。

スマホの電池の消耗の早さにウンザリしている方は多いと思いますが、私もIGZOのCMを見て、自分のお気に入りのHTCでも、早くIGZO液晶を使用したスマホを出してくれないかなどと思いました。なんせ、電池が従来の数倍も長持ちするようになるというのですから魅力です。


早速、アップルのiPadにも採用されて、昨年の3月から出荷を始めたそうです。

このIGZOを生産するのが、亀山第2工場ということですが、社運を賭けて生産ラインを充実させた主力工場の稼働率が伸びていないそうです。

アップルの新型iPadに、シャープのIGZOとサムスンアモルファス液晶パネルが採用されましたが、IGZOの解像度をわざと落としているそうです。
1社からの部品調達は安定性と価格から見て危険だという判断からだそうです。
各部品から最終商品まで自社製品比率が高く外注比率が少ない企業と、ほとんどの部品を外注部品によっている企業とのリスク管理の考え方の違いです。
オンリーワン技術が、市場競争上の強みになるとは限らないのですね。

海外メーカーは「売れるものが良いもの」と考えるが、シャープは「良いものが売れる」と考えると言います。

大分昔のことですが、海外のある家電ショーで、シャープが冷蔵庫を披露したことがありました。
その冷蔵庫の扉は、右引きでも、左引きでも両側から開けられるもので、日本でもお馴染みのものですが、披露したところ、観客から失笑をかったというのです。
必要のないところに技術(コスト)と製造コストをかけて、馬鹿じゃないかという笑いでした。

日本の家電は今やガラパゴス家電と呼ばれ、狭い世界にこだわるあまり、世界市場では受けないという、かつてのガラ携と呼ばれる日本の携帯電話と同じ袋小路に入ってしまっているようです。