円安は怖いんだって!

円安バッシングが、直接的な表現ではなく、より巧妙に考えて、行われるようになっているようです。
素直に、日本の国を良くしていくことに力を添えようというマスコミがあってもおかしくないとは思いますが、揃いに揃ってという感じです。

最近では、エネルギーコストの上昇を訴えると、耳目に良いようです。
ガソリン価格の上昇や、電気料金の値上げを、消費者にインタビューすれば、困りますという話になるでしょう。
基本になるエネルギー価格が安定してくれなければ生活の根幹を揺るがすという話しにつながります。

それゆえ、輸出業界は潤っても、国民の多くはエネルギー価格の急騰で生活が苦しくなっている。
したがって、円安は迷惑だと言う感想が、いろいろな人の口から出てきます。


内需産業の利益で国民が生活できれば良いのですけれどね。
国内だけでのマーケットのみに供給する製造業は、競争力が弱まります。
海外の製造業は、自国一国のみでマーケットを考えていません(日本の大部分の企業もそうですが:マッキンゼーは80年代には、しきりに海外マーケットを視野に入れなければ生き残れないと警鐘をならしていました)。
近隣諸国のマーケットや、需要のある国を中心に、マーケットを面で広げようと画策します。こうした企業の製造コストは自国のみの需要に頼っている製造業のコストよりはるかに安くなります。まして、円高になれば、元々製造コストの安い海外製品を、国内の製造業の商品よりも、より安く輸入できます。国内市場にしか供給しない企業は、輸入商品に太刀打ちできず、倒産していきます。失業者が溢れるようになります。

会社を守りたかったら、国内の雇用を維持したかったら、海外市場にも供給を図り、損益分岐点を下げなければなりません。輸出しなければやっていけないのです。
輸出をしないであくまで国内需要のみにターゲットを絞るのであれば、海外勢に追随できない技術力を持ったり(そうなれば必然的に輸出競争力のアップにつながりますが)、円安で海外製品の脅威から守られる場合が考えられます。

国内だけでのマーケットのみに供給する製造業が成立するのは、付加価値の低い商品で、海外勢が輸出までして拡販するメリットを感じない業種の場合が多いと思いますが、こうした業種には、海外から人が流入して従事して、日本人を駆逐しているように見えますが、実際は日本人がやりたがらないという理由が大きいようです。

円安は輸出企業の業績を押し上げますが、内需産業をも守ることになります。
輸出産業の比率が国内で大半ではなくても、円安が国にとっては安定をもたらすという面は強いと思います。


日本の国の特徴は加工貿易であり、原材料を輸入して付加価値のあるものを作り、輸出することで成り立っているというようなことを、中学校かの教科書で習った覚えがあります。

基本的な日本の拠り所や、基本的な社会の流れについて、もっと教育する機会が必要に思います。
本当に必要なことは何なのか、こういうところでも知らされないで機会損失する場面が見られます。