チャイナ+ワンはどこか?

昨年9月の中国での反日暴動は、まだ記憶に新しいですが、
今年1月のアルジェリア人質事件では、日本人10人もが亡くなりました。
世界でも稀にみる安全な国である日本に住んでいると、海外勤務はリスクが大きいと感じます。

賃金の上昇や様々な不安要因から、中国から脱出する欧米企業は増えているようです。
日本の企業も、撤退する場合従業員に支払わなければならない経済補償金の問題はあるにしても、カントリ−リスクと労働コストの低い国を真剣に検討しています。


本日は、つい先ほどまで、主題のテーマのセミナーに出席してきました。

「大メコン圏はどのように変貌しつつあるのか?」について、
静岡県立大学国際関係学部教授の 諏訪一幸氏

「チャイナ+ワンはどこなのか?」について、
静岡県立大学国際関係学部教授の 五島文雄氏

の基調講演の後の質疑応答では、

両教授以外に、セミナーに出席していた、現地に進出している企業の社員の方や、ベトナムで日本語を教えていた方、アジアからの留学生の意見等を伺うことができ、とても面白く、18:30〜21:00までの予定を、30分程超過しましたが、話が尽きない内容の濃いものでした。

ベトナムラオスカンボジア、ミヤンマー、タイ等の個別の現状と問題点等は、一般に知りえるポイントとは異なる面もあり、やはり現場で感じ取る空間・時間感覚は貴重だと思いました。

日本でも、自民党政権に戻ってから、アジアの安全保障の問題に真剣に取り組んでいるようですが、対中国の脅威という角度から、東南アジアの国々との友好・協調という関係を築こうという姿勢が強く窺えます。

ベトナム日本語教師をしていた方によれば、ベトナム人で中国人が好きだと言う人はいないだろうといいますし、ミヤンマーでも中国人は怖がられているそうで、あまり中国の評判はよろしくないようです。
ベトナムの留学生は、中国人は好きだと言っていましたが、今日は中国からの留学生が2名同席していたということもあるのでしょう。同じ留学生同士で、理解しあっているのであれば、それはそれで良いことですが)
マンダレーの中国総領事館にタクシーで行こうとしたら、何人もの運転手が怖がって行きたがらなかったそうです。


しかし、国境問題で中国と紛争になっている国もありますが、嫌われていても、中国は圧倒的に上記の国々に入り込んでいます。
中国はいろいろな国で無償援助で箱物を造っています。日本はそんな中国に多額の無償援助をしてきましたが、中国は、そのお金をそっくり東南アジアの国に援助して、それらの国に中国が幅を利かせて恩を売っているようです。

カンボジアにいたっては、元の首相府の官舎を無償援助で中国が建設していますし、ラオスでは箱物の無償援助の代わりに手に入れた土地を造成して、人口5万人のチャイナタウンを建設しようとしているそうです。
大規模ショッピングセンターも、いろいろなところで建設しています。

中国からラオスを通ってバンコクまで行く鉄道の工事代金は約70億ドルとのことで、資金負担できないラオスに代わって中国が工事を行っているそうです。最終的に中国からバンコクまで行く鉄道が、中国のものになるだろうと言われているとのこと。

くどくどと、何がいいたいのかと言えば、中国は既に各国に影響力を持ち根を張ってしまっているのです。いくら、今更中国を嫌ったところで、その影響を断ち切れないということです。

最近中国の次として脚光を浴びているミヤンマーでも、華人の学校があり、大学も作っているそうです。(中国人が通うためのもの)
ミヤンマーでは韓国のビジネスマンにも会いますが、旅行者以外の日本人に会ったことがないそうです。日本の企業人には会うことがないというのです。

日本の企業人は、商社員でも海外勤務を嫌うようになったと聞きますが、身近な国にも積極的に出て行っているのは、中国や韓国の企業なのでしょう。

こうして官民共に、泥臭く根を張ろうとしない日本に対して、各国に既に根を張りめぐらしている中国を、日本は排除する論理で行動しようとすると、外交も上滑りしてしまわないだろうかと思います。
中国とうまく協働するためには、どう行動すべきかと言う視点が必要なようです。