日本語の壁(留学生・外国人就労者)の問題、

本日は、先週の「チャイナ+ワン のワンはどこなのか?」のセミナーの続編として、

静岡県内のアジアの国々からの留学生に関して、いくつかの項目についての講演と、
留学生達との懇談会がありました。

先週は、キラキラしている留学生達と話をして、とても前向きな気持ちになり、グウタラな自分でも、何かやれることがないだろうか、などという気持ちが湧いてきました。
今日も、彼らと話ができるのを楽しみに出席しました。


今日のセミナーの大テーマは、

≪留学生の来日から就職まで  〜県内企業と留学生のマッチングを目指して〜≫

という題目で、静岡県立大学 国際関係学研究科助教授の比留間洋一氏が進行役で、


日本語学校の就学生とその進路」として、
国際ことば学院外国語専門学校校長 袴田靖子氏
静岡日本語教育センター常務理事 市毛大輔氏


「留学生の生活と就職活動」として、
ミヤンマー出身留学生
インドネシア出身留学生
ベトナム出身留学生
中国出身留学生
スリランカ出身の留学生OB(現料理店経営)


「しずぎんアジア留学生奨学金制度の創設とその実施状況」


「県内企業の海外進出とアジア人留学生就職ガイダンス」として、
静岡県国際経済振興会業務部 桜井渉氏


その後、その他の留学生を交え、懇談会を行いました。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇  
  
ここ5年間程の静岡県内の留学生の特徴として、
中国、韓国からの留学生数が激減
台湾からの留学生も微減

それに比して、5年前と比べて
ベトナムからの留学生数が、約3.3倍
ネパール     〃    2.8倍
ミヤンマー    〃    1.8倍

と、漢字圏からの留学生が減少し、
非漢字圏からの留学生の増加が顕著とのこと

そのことから、次のような問題が出てきているようです。

従前の留学生の一般的なコースは、

来日して日本語学校で2年程勉強して
    ↓
日本語能力試験を合格して
    ↓
大学進学


が多かったそうですが、

非漢字圏の国からの留学生は、日本語の習得に、より時間がかかるため、

来日して日本語学校で2年程勉強して
    ↓
専門学校で1〜2年勉強
    ↓
大学進学


と、専門学校が予備校化しているそうです。

経済的に余裕のない留学生には、その間の労力は大変なものがあると思います。
モチベーションの維持が大変とも言います。



ところで、日本語のハードルの問題は、日本が国際化のためには国全体で考えなければならない問題だと思います。

話題がそれますが、
労働者の海外からの流入というのは、日本人の職が奪われるなどの難しい問題がありますが、将来必要な労働力の供給に対しても、外国人に対して日本政府には何か冷たい対応を感じる場合があります。

インドネシアやフイリピン、ベトナムの人達が、その細やかな感性で日本のお年寄りの介護の仕事に就きたいと、日本に来日しています。
彼女達(多くの場合)は日本の介護の現場で働きながら、日本語の勉強をして、日本の国家資格を取得しようと懸命に頑張っています。

背景は、これらの国と経済連携協定を結び、国家資格を取得することを目的とした就労を行う外国人候補者を日本が受け容れているからです。
彼女達外国人候補者は、受入れ施設で就労しながら国家試験の合格を目指した研修に従事しています。

ここで、外国人の候補者と受入れ機関との契約は雇用契約であり、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を支払う必要があるほか、日本の労働関係法令や社会・労働保険が適用されるとしています。

条件は非常に良いと思えますが、この就労を行う外国人候補者は、非漢字圏の国から来日し、学生ではなく、昼間はハードな介護の現場で仕事をしています。その状況で、日本の国家試験に合格するには、相当のレベルの日本語能力を習得しなければなりません。

経済連携協定に基づく外国人候補者は、看護師・介護福祉士の国家資格を取得することを目的として、協定で認められる滞在の間(看護3年間、介護4年間)に就労・研修することになっています。

≪看護3年間、介護4年間≫です!  この期間に合格しなければ、せっかく日本で懸命に頑張ったのに、国に帰らなければならないのです。

国家資格は、専門用語が満載の日本語の試験です。
多くの人が合格できず、傷心のうちに帰国しています。

実際の仕事では意志疎通ができる程度、また特定の医療関連の専門用語が分かれば、普段の業務には支障がないと思います。
落とすための試験ではなく、必要能力基準を越えている人を引っ張り上げる試験にする必要があるのではないでしょうか。

必要な人材の登用においては、言葉のハードルはなるべく低くしながら、専門知識を問う問題や人間性を問う問題の作成は可能と思います。
もちろん高齢者の方の訴えや要求を理解する基本的な日本語は身につけている必要はありますが、語学力が高くてもハートのない人はどこの国でもいます。
試験で落とす必要があるとしたら、それは日本語の能力が高い・低いという基準ではないと思います。

国も、試験問題のありようを検討するようですが、厚生労働省の思考パターンでは期待できません。

厚生労働省のHPには、
『これら3国からの受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応として行うものではなく、相手国からの強い要望に基づき交渉した結果、経済活動の連携の強化の観点から実施するものです。』などという記述があります。
しかし、日本において、介護職は若年労働者の定着率が低く、将来的に海外の労働力に頼る必要があるなどと、政府機関からの声も聞きます。

まるで、日本に期待して夢を持って来た日本に、冷たく拒絶された人達が多いのを、自分達の責任ではないかのような態度に感じます。『相手国からの強い要望に基づき交渉した結果』という表現に、高飛車な傲慢さを感じてしまいます。

ここが、多民族国家の知恵を活かしているアメリカと違うところで、島国単一民族の傲慢さの顕著なところです。
アメリカからは、ハゲタカのようなグローバル経済を取り入れるのでなく、グローバルな人的交流を行うための知恵を学んでほしいところです。

脱線してしまいましたが、留学生が増加している国は親日国で、日本の力を必要としている国々です。
自分にも何かできることがないかと、真剣に考えようと思います。


前回同様、21:00終了予定が30分以上超過となる、熱いセミナーでした。