統治の心(2)

ブラジルのファヴェーラを題材とした作品は、古くは日本でも有名な「黒いオルフェ」などが知られています。
その後、「ファヴェーラの丘」や「シティ・オブ・ゴッド」なども紹介されています。

ファベーラはブラジル全土の都市周辺にあり、現在では経済的に貧しい地域であるブラジル北東部から、仕事を求めて流れ込んで来た人が多く、住人は貧困層として一般的に認識されています。

ファベーラは写真の題材としても魅力的な存在です。数多くの写真を見ることができます。
違法で作り上げられた街の中は、路地裏に大量にゴミが捨てられたままになったり(税金を払っていませんので、ゴミ回収などは来てくれないのでしょう)、電気を盗むために、電柱からオビタダシイ電線が家庭に引き込まれているのを見ると危険を感じます。実際に漏電による火災も起きているそうです。
汚物の処理や、汚水がどうなっているのか、知るのも恐ろしい気がしますが、山の斜面にスラム街は形成されていますので、汚水の流れからすると川上になりますので、汚水により伝染病が蔓延するということも考えにくいかもしれません。

ファベーラは麻薬や銃の密売を営むギャング組織の拠点となっている場合が多いため、一般のブラジル人は立ち入りたがらない地域です。
ファベーラで警察との銃撃戦が行われ、1日で数十人が死亡するといった事件もあるようです。
などというと、ファベーラに悪の巣窟のようなイメージを持ちやすいですが、そこに住む多くの住人は善良な人達です。
住民達の中にはギャング達より警官に反感を持っている人も多いようです。
強い権力を持つ官憲は、弱い立場の人達には嫌われることをする場合がありますので、仕方がありませんね。

ファベーラの犯罪の発生率は高いのですが、警察がまだ介入していないファベーラもあるそうで、ファベーラの数、そこの住人の人口が多いということなのでしょう。 
以前、新聞のコラムで見たファベーラは高層マンション1棟が丸ごとファベーラで、外部の人間が中に入って迷い込んだら、外には出てこられないようなことが書いてあり、恐ろしい場所があるものだなどと思ったものでした。

2011年には、リオ・デ・ジャネイロには1150ものファベーラが存在すると言われていて、その人口は150万人にもなるそうです。リオ・デ・ジャネイロに住む4人に1人がファベーラの住民だと言われますし、3分の1に近いという人もいます。

これだけの人口になったファベーラの住人達の立場も変化してきています。
職を求めて都会の近くのスラム街ファベーラに移り住んだ人達は、都市の活動に欠かせない多くの労働力を供給してきましたが、稼いだ住民は消費者としての存在感が大きくなっていきます。

特に、高級リゾート地の近くのファベーラの住人は、賃金等の条件の良い職に就くことができるため、ファベーラの住人の中には、豊かな人達も出てきます。単純に、ファベーラ⇒貧困層という図式が成り立たない場合も出てきているようです。
高級リゾート地のすぐ近くに住居がある訳で、違法なため取り壊される恐れがあると言っても、裕福になったからといって、住み慣れたら他所には移りたくない人も多いだろうと思います。


さて、今月末は復活祭です。

復活祭の前に40日の準備期間として四旬節があります。
自分は、キリスト教の知識がないので、難しいことはわかりませんが、この期間、復活祭までの40日間の四旬節は、キリストが荒野で40日間の断食をしたということにちなんで、以前は肉食を禁じていたようです。
40日間も肉食が禁止されるならば、その前にたくさん肉を食べて、楽しみ、盛り上がろうというのが人情ですね。
これが謝肉祭です。

復活祭まで肉が食べられなくなります。
ラテン語で、カルネ・ウァレ(carne vale、肉よ、お別れじゃ)が、カーニバルの語源とも言われています。