安倍政権の陥穽の続き

昨日は、肝心の主題から、防衛問題にそれてしまいましたが、そのまま続けます。

お騒がせな話ですが、北朝鮮のミサイルは、現時点では発射されていないようです。
当初、北朝鮮は、射撃対象可能性を米軍基地のある三沢や横須賀、沖縄としていましたが、その後、朝鮮労働党の機関紙は、東京、大阪など5都市も報復の対象などとしているとのこと。おかげで、名指しされた自治体は、北朝鮮の動向から目が離せずに警戒していることでしょう。市民からの問い合わせなどもあるでしょうから、自治体によっては大変な思いをされているでしょう。

北朝鮮のミサイルには毒性の強い非対称ジメチルヒドラジンが含まれているそうで、気化したガスを大量に吸うと死亡する可能性もあるため、三沢市消防本部幹部は「(落下地点の)風下に行かないよう住民を避難させ、二次被害の防止に努める」と語っているそうです。
実際に着弾した場合に住民を避難させることは、大変困難な作業になると思えます。防災関係の方達の指示に落ち着いて従うのが、余計な混乱を招かずにすむことになるでしょうが、不幸にも被害が出てしまうと、冷静でいられなくなるように思います。地震津波の際の避難訓練などを普段から行っている地域は、こういう場合にも冷静な行動が取れるのかもしれません。


さて、アメリカはフィリピンから基地を撤退させましたが、日本だけでなく、フイリピン、ベトナムなどASEAN諸国などとも、中国は国境問題での対立を深めています。
そのため、フィリピンは、以前米軍基地のあった、ルソン島のスービック湾に、新たな軍事基地の建設を計画しアメリカとの合意を得ています。このことは、日本の外交、国防の面で、大変大きな問題になります。

日本では、自国の国防は米軍に任せれば良い位の意識の人も少なくありません。米軍がまるで日本の傭兵であるかのような意識の人もいます。そのためか、米軍基地の存在意義について、冷徹な論理よりも情緒的な判断でもって論じられやすいところがあるように思います。
また、基地が沖縄に集中してしまっていることから、特に沖縄の米軍が手薄になることは歓迎すべきという意見が多く、それがそのまま日本から米軍が撤退することが、日本にとって最善であるとしている意見が多いように感じます。しかし、実際はマスコミがその報道を偏向させて世論形成を図っているような面もあり、また、マスコミのアンケートは、集計する際にどうとも取れるようなものがあり、国民の意識がどちらを向いているのか非常に分かりにくいということがあります。そのため、問題提起の焦点がはっきりしにくく、議論がなかなか深まっていかないように思います。

基地のウエイトを変更するということは、アメリカが維持していた役割を日本が自ら行使していく必要が出てくるということです。
大変なことは米軍にやらせて、文句だけ言っていれば良い、というわけにはいかなくなります。

米軍基地の比重の変更は、日本の外交のあり方、国防のあり方、ひいては国のあり方をも根本的に建て直す必要性へとつながっていくと思います。