近くて遠い国Ⅱ

尖閣諸島沖縄県石垣市)北方海域における中国海軍艦艇が、海上自衛隊護衛艦へレーダー照射を行った事件が、先般大きな問題になりました。
その時は、中国政府はそのような指示はしていないという見解でした。それどころか、日本側の挑発言動だと、全くいわれのないことのような姿勢でした。

それを受けて、日本では、中央政府の意向を聞き入れない軍部の存在を指摘したりして、中央政府は軍をコントロールできていないのではないかなどという意見も出ていました。

しかし、複数の日中関係筋から、これが中国共産党中央の指示によるものだったことが23日に分かったそうです。

党中央から威嚇手段の検討を指示された中央軍事委員会が、レーダー照射に加え、「火砲指向」も提示したとのこと。党中央はいずれも実施を許可していたそうです。
海自側は、レーダーに続き火砲も向けられれば中国側の攻撃意図を認定せざるを得ず、一触即発の事態となる恐れもあったということで、軍をコントロールできていないどころか、中央政府と軍とが一体となって、日本を威嚇していたことになります。

このことから、上述した日本の識者の読みは、全く甘いものだったことが分かります。
恐らく、一般的な日本のインテリの質の良さでは、中国の悪意の意図を読み切れないということなのでしょう。
日本国民には良識ある人が多く、民度が高いということで、ある意味では評価できることかもしれません。しかし、これは、こういう甘い考えでいる一般的な日本のインテリでは、現代の国際社会で、国防を論じることができない場合が多いということだと思います。
また、同じようなレベルか、それよりも甘いマスコミは、国防の問題に対して野党の代表意見のように、共産党社民党の意見を定番報道しますが、この定石の報道スタイルは、政府を牽制するどころか、国家の手足、脳をも、呪縛してしまうことになりかねません(現にそうなっていると思います)。小数意見としての補足付報道でしたら、まだ分かりますが。



さて、更に中国の強面の一面が、、、

□■□■□■ 以下産経新聞(4月23日)から □■□■□■

関係筋によると、党中央が軍事委に対し、海自への威嚇について検討するよう指示したのは1月14日。
これに先立つ1月5日、安倍晋三首相が尖閣諸島周辺での領域警備で対抗措置を強化するよう指示。具体的には、領空侵犯機が無線警告に従わない場合、空自戦闘機が曳光(えいこう)弾で警告射撃を行い、海軍艦艇が領海付近に進出してくれば、それまで28キロの距離を置いていた海自艦艇が3キロまで接近することに改めた。

こうした日本政府の対応に中国側は強く反発。党中央が威嚇の検討を指示した14日には、人民解放軍の機関紙「解放軍報」が、作戦立案を担う総参謀部が全軍に「戦争の準備をせよ」との指示を出していたと報じた。

党中央による軍事委への指示は、「日本を威嚇する方法はないか」という内容。加えて、「日本の出方を試す必要もある」との意図も伝えた。

これに対し、軍事委は「海上であれば艦艇が日本の艦艇に射撃管制用レーダーを照射するか、火砲の砲身を向けることが考えられる」と回答した。

党中央はこれを認め、実施時期と場所、手順については艦艇の「艦長判断」に委ねる方針も示した。

中国の国防方針は党中央→軍事委→軍四総部−の流れで決まり、関係筋は「照射も通常の指揮系統で決定された」と指摘する。


【用語解説】レーダー照射事件

 1月30日に中国海軍のジャンウェイII級フリゲート艦が海自護衛艦「ゆうだち」に射撃管制用レーダーを照射。日本政府は、1月19日にもジャンカイI級フリゲート艦が護衛艦「おおなみ」搭載のヘリコプターに照射した疑いが強いとみている。中国外務省は「日本の捏造(ねつぞう)」と否定したが、安倍晋三首相は「認めて謝罪し、再発防止に努めてほしい」との認識を示した。

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どちらにしても、怖い国がご近所にいます。

道理や倫理がまかり通らない世界では、
喧嘩好きなチンピラは、トラブルになった相手が弱い奴とみると、容赦なく攻撃してきます。
そのため、そういう世界では、普段頭脳労働の、学者やエリートでも体を鍛える必要が出てきます。
多少、腕に覚えがあることを匂わせれば、1対1では、やたらと手を出さないでしょう。(人数が多いと掛かってきますが)
これは、日本の社会以外に、例えば、アメリカの西部劇の世界などからも十分学ぶことができます。

エリートが多いといわれる日本のマスコミは、そういう場合は、相手を極力刺激しないで、相手が気になる言葉を言ってはいけない、というような意味の報道を良くします。(泥棒のことを泥棒とは言わないように!:では、何と言ったら良いのでしょうか?)
これは、弱さを示したことになりますので、あまりお行儀の良くない世界(ですが、一般的な世界でもあります)では、通常、ボコボコにされて金のなる木にされるか、家屋敷を取られて奴隷のような存在にされるか等々ではないかと思うのですが。

安倍首相は参院予算委員会で、閣僚の靖国神社参拝に関して、「他国に文句を言われる筋合いではない」と答えたそうです。
この類の発言をすると、今までは責任問題として吊るしあげられ(誰に?って、日本のマスコミと国民でしたよ)、その結果、職を辞することになったりと、今まで散々な目に遭ってきた方々がいます。
当たり前のことが、やっと言える時代になったと思ったら、そうした発言を踏まえてか、極右安倍とか、超タカ派政権などという修飾語をつける人達も多いようです。
しかし、自分の目には、日本の自民党など、アメリカの民主党よりも、やわい政党ではないかと思うのですが。