フィフティ・フィフティ

先日の北方領土の交渉に関して、続報で詳細記事が出ていました。

毎日新聞 4月30日(火)21時28分配信 によりますと、

日本政府高官によると、プーチン氏は「大事な話をしないといけない」と北方領土問題を切り出し、ロシアが係争地の面積を2等分して境界を画定した中国、ノルウェーとの交渉例を引き、「他国とはこう解決した」と説明したそうです。


中国とロシアとの国境紛争の解決は、日本では話題に上ることは少なかったと思いますが、2004年当時、世界では大きな話題となりました。
ロシアが実効支配していたヘイシャーズ島(ロシアでは、ボリショイ・ウスリースキー島、タラバーロフ島(銀龍島)の2島)を、中国・ロシアでほぼ2等分に分けたことで、フィフティ・フィフティによる解決と言われることがあります。(この他、ボリショイ島と、併せて3島の帰属問題が残っていました)

この記事から、北方領土も、このようにフィフティ・フィフティとして、面積2等分にしての手打ちになるのではないかという憶測を呼ぶことになるでしょう。

お互いに痛み分けによる譲歩で、解決をしたと言うことではフィフティ・フィフティと言えるかもしれませんが、
中国との国境問題では、得をしたのはロシアのように自分には思えます。
中国からしたら、実効支配をされていた島の一部が戻ってきただけで、中国の権利が十分回復したとは言い難いと思うからです。

この国境決着問題は、日本での報道が極めて少なく、ロシア・中国とも明確な決着点について明瞭な発言がなかったため、はっきりと分らない面がありますが、2004年11月14日、ラブロフ外相は、タラバーロフ島の中国移管、ボリショイ・ウスリースキー島とボリショイ島はおよそ半分に分けあったと発言しました。

日本でも、戦勝による領土の獲得ラインに納得できない国民が、焼き討ちを行った例もありますが、国境問題の決着は大変難しい面があり、自国の中でも賛成派、反対派が、それぞれ強硬な面々であると言う場合が多いと思います。

そのため、それぞれの強硬派の突き上げを恐れ、時間をかけて世論の沈静化を図るため、決着点について曖昧な態度に終始してきたものと思います。

中国・ロシア共に不満が残る解決策でしょう。しかし、ロシア国内の強硬な反対派の手前で成果をどうこう言えないとは思いますが、実効支配しているロシアが、キャスティングボードを握っていたと言えるのではないでしょうか。

フィフティ・フィフティという表現で、領土の決着の仕方として、まるで美談のように伝えられることがありますが、結局は、領土は占有した方に圧倒的に有利になるということを、この例は示しているものと私は理解しています。
領土は、いったん実効支配されたら、武力でもって、しかも犠牲を伴うことでしか、完全に回復することは難しいと思います。
実効支配されないようにすることが、結局は後々の犠牲も被害も少なくなる対応なのだと思います。