カジノ閑話

カジノというとラスベガスやマカオが有名ですが、カンボジアも最近脚光を浴びているようです。
ベトナム国境近辺には、カジノが数多く、中国など海外からの来訪者以外にもASEAN諸国で余裕のある人達が興じているようです。

カンボジアと言うと、ポルポト派による虐殺の歴史などを経て、国造りの最中です。
まだ国内の地雷の撤去も終わっていないカンボジアが、カジノ大国と言うのを知った時、私は何かしっくりいきませんでした。
ASEANの中でも、東京と遜色のない大都会のあるフイリピンやタイならば、カジノも自然な気がしたのですが。

もっとも、外貨を稼ぐためにはカジノは大きな働きをしてくれるでしょうから、国の建て直しの財源にするために、カジノに積極的になるのかと思いました。
しかし、カンボジアのインフラ整備などの話を聞くと、どうも、そればかりではないような気がします。

カンボジアの開発は中国資本によるところが大きいようです。
大きなビルや観光ホテルや、造成地など韓国系企業も目立つそうですが、中国企業が圧倒的と言います。
以前記しましたが、ラオスカンボジアの政府系の建物も中国が建設したりと、中国はカンボジアの開発にも、まるで空気のような身近で、なくてはならない存在になっているようです。


今年に入って、ギャラクシー・エンターテインメント(銀河娯楽集団)という企業が日本で話題になったことがありました。
アベノミクスで日本が沸き立っていた頃(今でもそうですが)、中国(香港)のカジノ企業である同社が、カジノ景気により急成長して株価が暴騰したことを、日本の証券業界に関連する人達が煽りの材料に使っていたようです。

世界最大のカジノというと、ラスベガスではなくマカオですが、この胴元は中国政府です。
ギャンブルは胴元が儲かるような仕組みを作りますが、中国政府は、このギャラクシー・エンターテインメントの他に、澳門旅遊娯楽、サンズ、MGM、ウィン・リゾーツ、の5社にマカオでの営業を認めています。

営業権を持つこの5社の力は絶大で、マカオで、この5社以外の企業がカジノ付ホテルを建設したとしても、そのカジノの運営は、この5社の内のどこかに委託しなければなりません。

カンボジアでカジノ付ホテルを中国企業が建設しているとなると、そこでの収益はこのカジノメジャーや中国政府が永続的に収奪、否、得るようになっていると言えます。もちろん、カンボジアにもメリットはあるでしょうが、華人のしたたかさを思うと、その影響が気になるところです。

カンボジアは国の復興期に、観光立国としての整備に力を入れているようですが、外貨獲得の優等生がカジノというのは、舵取りを上手く行わないと、国民の精神性の面で歪みを生じやすいという懸念を感じます。日本のように、酸いも甘いもある程度分った国であれば、影響は薄いと思うのですが。
 
先述した5社は、マカオ以外でも、カジノの運営を行う大手企業で、カジノ世界でのメジャー企業となるには、やはり怖い一面を持っている必要があるようです。