カジノ閑話3

ユニバーサルエンターテインメントという会社、調べれば調べるほど凄い会社と思います。
企業小説や経済読本の対象になる材料がたくさんありそうです。綺麗ごとではない泥臭い話は、多くの人を惹きつけるに違いないと思います。
しかし、こうした企業を炙り出すには、それなりの練れた作家でないと難しいでしょうが、企業小説の担い手も変わりつつあります。


カジノメジャーの、ウィンリゾーツ社の創始者ティーブ・ウィン氏は、ラスベガスにおける巨大カジノホテルを手がけ、ラスベガスに大型カジノブームをもたらしました。

「ホテル王」とも呼ばれるスティーブ・ウィン氏は、1980年代にダウンタウン地区のホテル運営で財を成し、その資金でミラージュホテルを作り、大型カジノホテルブームに火をつけることになります。
その後、トレジャーアイランド、ベラージオなど3,000室級の、それだけで一大レジャーセンターのようなカジノホテルを次々とオープンさせ、成功させます。
ティーブ・ウィン氏は、この成功が基になり、そこからの順調なプロセスに今があるのかと思ったら、そうではなかったのですね。

当時はミラージュ社のトップだったウィン氏は、高級ホテルベラージオに経費をかけすぎたために経営難に陥ったといいます。
そのミラージュ社をMGMのオーナーのカーク・カーコリアン氏が買収します。
ウィン氏は、最高経営責任者の立場を追われ、ホテルグループを統括するミラージュ社を去ることになります。

ウィン氏は、買収された資金で700部屋ほどの小規模な老舗ホテル・デザートインを買収しますが、ウィン氏の資力はそこまで落ち込んでしまいました。
一時は、3,000室級の巨大ホテルを運営していましたので、期するところはあったのでしょう。しかし、思いはあっても、資金が伴いません。

そんな時に出会ったのが、ユニバーサルエンターテインメント社の前身アルゼ社の岡田氏でした。
岡田氏率いるアルゼ社は、パチスロ製造で当時業績が絶好調で、ラスベガスで、スロットマシンの展開を図ろうとしていたようです。
岡田氏は当時の為替レートで400億円以上の資金を、ウィン氏に提供します。

岡田氏とウィン氏はその後良きパートナーとして、ウィンリゾーツ社を創設し株式上場を果たし、2005年4月にはウィン・ラスベガスを開業させます。

ウィン氏はそれまでのホテル経営の経験を活かし最高経営責任者兼会長として。
岡田氏は資金調達で大きく寄与し、大株主の副会長として。
2人は、経営・資本の相互に補完しあうパートナーとして、ウィンリゾーツ社を短期間の内に軌道に乗せます。
 
その後、2棟目の、アンコールを完成、成功させます。
また、マカオに創設した、カジノホテル 「ウィン・マカオ」は初年度から利益を出すという程の好調ぶり。

こうした経過をみると、岡田氏とウィン氏のパートナーシップは、より緊密なものになっているように思えます。