カジノ閑話4

ユニバーサルエンターテインメント社は、フィリピンでカジノリゾート開発の計画を進めていました。

この計画に際して、当該カジノ設置認可権の取得を有利に進めようとし、フィリピン政府高官に多額の現金を贈ったり、マカオやラスベガスなどのホテルで接待を繰り返していたと報道されています。
ユニバーサルエンターテインメントはウィン・リゾーツにお伺いを立てずに、単独でフィリピン政府に働きかけたようで、その結果、フィリピン政府はU社にカジノ施設建設と運営を許可しました。
これがカジノメジャー企業であるウィン・リゾーツの逆鱗に触れたのでしょうか。

岡田氏とウィン氏とは、ウィン・リゾーツの創業前後から辿っていくと、良きパートナーとしての存在に見えますが、どこかで齟齬が生じたのでしょうか。

ウィン・リゾーツ社はU社が3000万ドルの裏金を、カジノ設置認可権を得るため、フィリピンカジノ公社に近い人物に提供していたとチクります。
ネヴァダ州税務委員会の下部組織として設置された、ゲーミング・コントロール・ボードには、カジノのライセンスの管理やゲーム税の徴収などの権限がありますが、U社の調査にゲーミング・コントロール・ボードやFBIが乗り出すことになります。
他国で起きた事件に、元スタッフをはじめFBIを即座に動かすというのですから、ウィン・リゾーツ社は表社会にも裏社会にも精通しているということでしょう。FBIは海外腐敗防止法違反などの容疑で、捜査を行っているらしいのですが。

いまだにアメリカはフィリピンの宗主国のつもりなのでしょうか。フィリピンのカジノは、アメリカ政府が胴元のようなものです。大都会もあり人口も多いフィリピンは、カジノの有望市場です。
そんなフィリピンで、米国のカジノ運営会社を押しのけて、日本企業が単独で進出するなどは許されない、というか面白くないのでしょう。
U社は賄賂の提供を否定して、ウィン・リゾーツ社と争うことに。
もっとも、フィリピン政府は、岡田氏側から受けたものは常識の範囲内の接待であって賄賂に相当するたぐいのものではないと、岡田氏擁護の姿勢を表明しています。(というか、自分達の弁明でしょうが)

岡田氏は岡田氏で、ウィン社が昨年7月にマカオ大学との間で今後10年間に10億香港ドル(約100億円)という巨額の寄付を行う契約を交わしたことについて、再三にわたり情報の開示を求めましたが、ウイン社側は岡田氏の要求を拒否したため、岡田氏はその契約に至った経緯などの詳細をウィン社が隠匿しているといいます。

岡田氏はユニバーサル社の筆頭株主・取締役ですので、岡田氏の求めに対して巨額の寄付行為の詳細を開示しないというのは、何か裏があると思われても仕方がないでしょうし、米証券取引委員会もウィン社の対応を問題視して、情報開示を同社に求めたといいます。

双方、一歩も退かない様子で、法廷闘争に移っていくのでしょう。どちらがどうなのか全く窺い知りようがありませんが、大変な争いになりそうです。
それだけ、カジノリゾートは魅力のあるビジネスということなのでしょう。