同一労働同一賃金

特定業種の参入障壁が高い場合、その障壁で守られている人達の給与や身分保障は、他の業種と比べると条件が良い場合が多いものと思います。

かつて護送船団方式などと呼ばれていた業種の企業は、学生の就職希望ランキングの上位を占めていました。給与や休日数(公表上の)などは確かに良かったようです。
福島の原発事故があってからは変わってきているようですが、参入障壁の高い電力会社の社員の待遇が良いのは、静岡でも誰もが知る所でした。

そんななかで、日本の農業に関しては、規制も厳しく参入のハードルは低いものではありません。大切な食を守る産業ですので当然と言えば当然な面もあるでしょう。
しかし、農業従事者の待遇が良いかと言えば、そんなことはなく、静岡市周辺の都市では、特に米作農家は農機具の燃料や肥料の費用を捻出するのにも苦慮するような状況です。
農業は長い間、税金からの支出なしには守れない産業という位置付けでしたが、TPP参加により国際競争に勝てずに生産できなくなる農産物も多いでしょうが、政府の主張するように農業の再生が行われ活性化するとしたら、今までの農政や農協は何をやってきたのだろうかと素朴な疑問が湧いてきます。
規制により厚遇されてきたのは、その直接の産業従事者ではなく、その周辺で利を食んできた人達だったということでしょうか。


さて、PCや電気製品の商品サポートのコールセンターが、フィリピンなどの海外に機能を移されて久しいですが、日本企業の場合は、日本語の壁があるために華人地域で対応している場合も多いようです。
購入した商品の使い方が判らない場合、コールセンターに電話して訊ねると、懇切丁寧な日本語で説明してくれても、相手は日本人ではなく、中国女性という場合が多いといいます。

私は説明書の類はほとんど見ないで済ませてしまいますので、コールセンターに電話したという経験がありませんが、どんな応対が行われているのか興味があります。
今度コールセンターに電話して、いろいろ話を聞いてみようかな。別に用事があるわけではありませんが。


日本語の壁が低い場合には、漢字圏以外で対応する場合も多いようです。

以前、大手住宅メーカーの支店長に聞いた話ですが、
その会社の営業マンは夜訪でお客様宅に伺い、プランニングの打合せを行います。
営業マンはお客様との打合せ事項を、お客様宅でノートPCに入力を行い、会社に戻ってからその内容をアウトソース先にメールで送るそうです。

この支店長、部下が夜訪から戻って残務処理をした後に書く日報をチェックしてから帰るのですが、業務の一部をアウトソースするようになってから、部下の残務処理が軽減されたため、帰る時間も早くなったそうです。(それでも、退社時刻が1:00頃だったのが、日付が変わる頃になった程度のようですが、年間にしたら随分な時間短縮になりますね)

営業マンが翌日会社に出てくると、昨夜のお客様のプレゼン資料が出来上がっているといいます。
平面図。立面図。パースには昨夜奥様が興味を示した、日本のメーカーの外壁材のお好みの品番の物でカラーリングされており、お手持ちの車も車庫スペースに駐車してあるため、とてもリアルなんだそうです。

標準単価でお客様提出用の見積書も作成済み。
利益率の調整と支店長に社判をもらえば、今夜クロージングができるとのこと。
(すごいスピードです。これを聞いた時は、同じ土俵で勝負していては、とてもかなわないと思いました)

アウトソース先は、4時間程度の時差のムンバイだそうです。インド人は非常に優秀で細かく仕事熱心。しかも日本人の報酬の数分の1で済むといいます。
時差が4時間しかないのに、そんな仕事量をこなせるのか聞いたところ、世界のアウトソースを行っているので、提携先の勤務時間に合わせて(勤務時間をずらして)勤務体系を組んでいるそうです。
日本の法規が入力されているソフトで図面を起し、周辺の地形に関してはグーグルアースで確認しているために、仕事の質に関してはほとんど問題はないそうです。

なるほどねー、
さすが、理系にやたらと強いインド人。その能力で世界中の国から仕事を引っ張っているのですね。

工場の海外移転で日本人の仕事がなくなっている以外にも、こうして日本人の仕事が奪われているのですね。
日本では、どちらかというと知的業務の範疇の仕事が、海外の優秀な労働力にかかると単純業務になってしまうのですね。そうなると仕事の単価も下がってしまいます。

海外の優秀な人達の労働力と競争をしなければならない日本の労働者の仕事は、必然的に同じことをやっていても評価も報酬も下がっていきます。

先般、ユニクロが世界同一賃金を適応するとの報道があり、やたらと批判やら非難やらされていました。
しかし、こうした状況を考えるとユニクロの発言はおかしなことではないように思えてきます。