混合診療の問題

昨日、ある病院長と打合せをした際に、混合診療の話題になりました。

それまで、介護の現場で看護師が不足しているという話の流れでしたので、今医療の世界で大きな問題になりそうなのが混合診療という話題の転換に私はとまどってしまい、何が問題なのか訊ねました。
一般的には混合診療は保険制度についての問題ととらえられていますが、院長は別な所に着目していたのです。


混合診療は、もちろん大きな問題で、医療関係者や保険業界はTPPの行方に目が離せないでしょう。

日本で健康保険料金を払っている人が病気で通院して、診療を受けて薬をもらった場合、通常国が効果を認めた保険リストにある薬を服用する場合には、一部は自己負担ですが、それ以外は健康保険などでの負担になります。


ところで、日本での薬物認可は時間がかかるため、海外では当たり前の治療方法や薬が日本では認められていないケースが少なくありません。
以前は、がんの闘病患者が、抗がん剤の服用をしていると、その辛さで死にたくなるなどという話を頻繁に聞くことがありました。
ご記憶の方も多いかと思いますが、静岡に関連する事例で、もう10年以上前になりますが、当時蒲原病院に勤務していたある医師の癌の治療法が、抗がん剤を使用しても、副作用に悩むことがないというものでした。その医師の治療を受けたいと希望する患者さんが、全国にわたり、順番待ちの状態でした。

この診療方法は、保険の適用外のため高額になりますが、この先生は患者さんの負担を極力少なくするように努力するために、病院の経営を引っ張ってしまうことになります。
評判の高い先生ですが、この医師を勤務させると病院の経営は大変になってしまいます。病院を責められませんが、この矛盾を解決するために、日本では未認可の薬や治療方法の早期認可を求める運動が全国で湧きおこり、私も同僚に嘆願書への署名を依頼したことがありました。この時の自分の行動を軽はずみで悪い行動だったとは思いませんし、今でも同様な状況では同じことをするかもしれませんが、思慮が浅かったのは間違いありませんでした。別なスイッチも押さなければならなかったと思います。それはともかくとして、

保険診療として認められていない薬や治療方法を、病気で悩む本人や家族の要望で、保険が使えなくても自費で支払うので受けさせてもらえないだろうかというのは家族にとって切実な問題です。

※ここに問題の根の一つがあります。裕福な人は受けられる治療が顕在化します。国民皆保険の名では、実際はそうでなくても、医療は一見平等、という評価を国民から得やすいでしょう。
現状では富裕層はより高度の治療を求める場合海外に行く場合が出てきます。報道や人づてで知ることはあっても、国民には見えにくいことです。
制度の歪はあっても、現状では国民から国の制度である健康保険制度が不平等であるというそしりは少なくなります。ただし、これは問題を顕在化させないというだけです。医療技術の進歩により医療費の高騰化は今後も続くでしょう。いずれ、医療費のすべてを健康保険制度ではまかなえなくなります。

しかし、日本の迎合的政党やマスコミは、こうした問題で問題解決を図ろうとすると、

国民を切り捨てるのか!
お年寄りは死ねというのか!
防衛費を減らして保険制度へ予算をつぎ込めば良い
わが党が政権をとれば高度の医療を皆保険制度で維持する!

などなど、国民目線と称する攻撃を、無責任な言葉で容赦なく行うことでしょう。
その上に乗っかって、目先のことしか考えない国民が多くなってしまうと、国の財政を更に悪化させ、問題を子孫に先送りするか、その前にデフォルトしてしまうことになるでしょう。中国やアメリカの思う壺かもしれません。

国がデフォルトしたとしても、政権奪取した政党やマスコミや、その迎合的政策の享受を受けた国民も、国は何をやっていたのか!と責め立てるだけでしょうね。

日本にまともな政治家が少ないのは、まともな人ならやりたがらない土壌をマスコミが作りだしているという面もあると思います。

ちょっと、今日は話がそれました。