西部劇の魅力

ジョニー・デップの最新作『ローン・レンジャー』が、日本では昨日(8月2日)から公開されています。
本場アメリカでの興行成績は振るわず、ディズニーの今年一番の大コケ映画になりそうなどと言われていましたので、収益寄与が期待される日本での売り込みには必死だったようです。

パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』のプロモーションには、ジョニー・デップ福島原発事故を嫌ってか来日しませんでした。日本が大好きというメッセージを伝えていましたが。


ところで、福島第一原発では、今大変なことが起きているという情報がネットにも散見しています。東電側は、実にあっさりとした姿勢なので、ともすると聞き流してしまいそうになりますが、何事でもないような冷静な口調の奥に、問題の由々しさがずっしりした姿を見せているように思えます。


東電の汚染水の海洋流出に関しての記者会見(2013年7月22日)

http://www.youtube.com/watch?v=tvP-ZFFWEuA   (約17分30秒)

http://www.youtube.com/watch?v=IADlcRDbYwk&feature=youtu.be  (約4分20秒)   

http://www.youtube.com/watch?v=cSa46g5RO40    (約29分)


こんな福島第一原発を取り巻く現状は、デップが来日を見合わせた時よりもひどい状況かもしれませんが、そんな今の時期に、子供2人に新しい恋人まで伴って来日したデップが、プロモーション活動を一生懸命行うというのは、背に腹は変えられないということでしょうか。その甲斐あって、話題作りには成功したのではないかと思います。

日本でのデップ人気はとても高いので、そこそこの興行成績を上げられるのではないでしょうか。作品の質が悪い訳ではなく、娯楽作品として良くできているという前評判のようで、自分も楽しみにしています。


アメリカでのウエスタンシネマは、先住民虐殺などの問題提起と隣り合わせのためか、今でも時折話題作が出てきますが、現在の作品の少ない状況は西部劇全盛期に少年時代を過ごした自分にとっては寂しい限りです。

西部劇を製作しにくくなったため、今の子供達が西部劇を見る機会が少なくなってしまった。子供の頃、自分がワクワクして西部劇を見ることで、男の友情や裏切りなどのドラマを堪能して得た興奮を、宇宙の世界を舞台にした映画を作ることで子供達に与えたい、という意味のことをジョージルーカスが言っていましたが、インディオへの問題の当て方の問題はあるでしょうが、実に魅力的な土俵からハリウッドは降りてしまっているように私には思えます。

例えば騎兵隊とインディオとの激突は、多くは勧善懲悪的な視点で描かれていたように記憶しています。頭の皮を剥ぐなどという醜悪な部分ばかり光を当てると、勧善懲悪的単純思考で戦闘シーンに溜飲を下げるような接し方をしがちでした。しかし、中には、インディオとの友情を絡めたストーリーもあり、妙に心に残る名作もありました。複眼的な物の見方をしている物語は、割り切れない深みを感じさせます。そして、その方が現実の人生に近いようだという思いも何となく感じるようになっていきました。
また、悪の多くは同じ白人の場合が多く、私にとって西部劇は善悪の基準を考える上での良き教科書でもありました。
数々の決闘シーンでは、残酷さなどは感じたことはなく、勇気、怯懦、潔くあるためには普段からどういう行動をとるべきなのか等、子供ながらに多くのことを学んだように思います。