西部劇の魅力(3)

大草原の小さな家』というアメリカのTVドラマがありました。日本ではNHKで放映され、人気のあった番組でしたので、ご記憶の方も多いと思います。
私もよく見ていた時期がありました。登場人物が素朴で、多少ステレオタイプな嫌いはありましたが、主人公達はとても前向きで、健全で、素敵な家族に思えました。牧歌的な自然や街並みなど、映像も魅力的で、見る人をさぞかし惹きつけたことでしょう。

西部の開拓時代の物語で、入植者たちの日常から起こる、いろいろなことが、事件として展開され、そこで子供や大人が影響し合い成長していくといった、ある意味でとても健全で前向きな番組だったように記憶しています。
綺麗にまとめすぎていると言う人もいましたが、私はこんなに誠実で前向きな家族は理想的とも言えるのではないかと思いました。

この物語は、この家族の次女のローラ・インガルス・ ワイルダーさんが作者でしたね。

主人公は西部の開拓者家族であり、先住民族との接点も出てきます。

ウイキペデイアを見ますと、

西部開拓時代のアメリカ(1870年代から1880年代にかけて)を舞台にしており、インガルス一家はウィスコンシン州カンザス州―ミネソタ州サウスダコタ州と移り住む。

とあり、

テレビドラマ化される際、インディアンをどう扱うのか、アメリカ本国では特に大きな話題になったと言われている。原作ではキャロライン・インガルスがインディアンに対し好感情を持っていないと見られる描写が多く(当時のアメリカ人の一般像でもあった)、そのままドラマ化するのかどうかが興味の対象だった。結果として、インディアンへの差別をテーマとしたストーリーも数話製作されたが、インガルス家は一貫してインディアンに対して好意的な立場であった。黒人への人種差別に関するストーリーについても同様である。

このキャロライン・インガルスさんとは、ローラさんの母親です。


ところで、一説によれば、白人が入植する前、先住民族は氷河期後期からアメリカ大陸に住み着いていたと言われています。約2万年前とも1万2000年ほど前とも言われます。
コロンブスアメリカ大陸を発見したのが1492年ですが、その当時に今のアメリカに住んでいた先住民族の人口は、100万人前後と推定されています。

先住民族といえば、日本には広範囲な地域でアイヌと呼ばれる人達が住んでいました。
アイヌの人々は魚を獲るにも、一つの川で獲り過ぎないように配慮していたと言います。資源が枯渇しないように自分達の生活と、生活資源とのバランスを図り、資源が再生できるような知恵を持っていたのです。
川に上がってくる鮭を獲る数を制限し、獲った鮭からは、肉や骨も利用し、皮からは靴を作りました。無駄を極力排して資源を大切にしていました。
アイヌは自然と共生し、再現可能な生活様式・文化を維持していたのです。

アメリカの先住民族も独自の文化を育み、部族間のいがみ合いや喧嘩などの戦いはあったかもしれませんが、やはり再現可能で持続できる生活形態・文化を持って、1万年以上に渡って自分達の民族を繁栄させてきたのです。

それが、コロンブスにより、西欧人たちの歴史に姿を現すや、西欧人の移住攻勢によって先住民族の平穏は破られます。アメリカの西部開拓の歴史に伴って、先住民族の不幸が、侵略と殺戮を交えながら進むことになります。

ポルトガル人やスペイン人が南アメリカにたどり着いたとき、先住民族は食事や寝る場所を提供したりしてくれたり、大陸で生活する術を手ほどきしてくれたと言います。彼らはこうして親身に接してくれた先住民族から奪えるものを奪った後に殺戮します。

先住民族の厚意は、アメリカでも同じだったようです。
彼らは、当初入植してきた白人に友好的に接したようです。
メイフラワー号でやってきた白人達に食べ物を与え、その作り方を教え、作物を育てる土地を肥沃にする方法も教えました。カヌーの作り方や、動物の捕まえ方、食用にできる植物の見つけ方や病気の治し方も教えました。

また、アメリカ大陸の厳しい冬の過ごし方を知らない、入植者達に冬の乗り切り方を教えてくれたり、親切の限りを尽くしたといっても良いと思います。

入植者にとっては恩人とも言える存在です。